上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
『早分かり 石田流 定跡ガイド』 所司和晴著 マイナビ発行 レビュー

isidagaide.png


定跡伝道師と言われ、多数の定跡書を書かれている所司七段が、『早分かり 石
田流 定跡ガイド』を出されました。居飛車党の先生なので、あまり期待していませ
んでしたが、知らないことが多く書かれており、収穫がたくさんありました。

◇目次
第1章 △8五歩早突き型    p5~p62
第2章 △4二玉早上がり型   p63~p116
第3章 △6二銀型        p117~p146
第4章 端歩突き越し型     p147~p164
第5章 △3五歩型相振り飛車 p165~p196
第6章 △5四歩型相振り飛車 p197~p210
第7章 △4四歩型相振り飛車 p211~p222

◇本書の構成
本書は、戦法によってではなく、▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩の次に、後手が何を
指すかによって章が分けられています。

第1章について詳しく見てみますと、

☆第1章 △8五歩早突き型
・チャート(図はなし) 1ページ
・基本図まで (基本図までの説明) 4ページ
・▲7四歩の変化 (基本図から▲7四歩) 1ページ
・▲7四歩~▲5八玉 (早石田▲5八玉) 8ページ
・▲7四同飛~△9二角・▲7四同飛~△6五角 (早石田鈴木流) 14ページ
・▲4八玉~▲7四歩 (久保流▲7五飛) 8ページ
・▲4八玉~▲3八玉 (升田式石田流) 12ページ
・▲4八玉~▲7六飛 (9手目▲7六飛) 8ページ
・各章のまとめ 1ページ
※早石田菅井新手・早石田▲4八玉については、変化で触れているのみ。

という構成になっています。各章の内容についても、▲4八玉~▲7四歩というように、
指し手で区分されており、○○流といった名称は使われていません。

また、分かれの局面図には、ほぼ全てに8段階に分けた形勢判断の記号(チェスで使
われている世界共通のもの)がついています。

◇『石田流道場』との比較
所司先生は、2004年に『石田流道場』を出されています。▲7五歩の次に何を指すか?
という構成は同じですが、『石田流道場』では、6二銀型・4二玉型・8四歩型・6六歩
型(角道を止める石田流)の4章構成でした。

本書では、最近増えている端歩突き越し型や相振り飛車にする章をも加えて7章にな
っています。また、同じ6二銀型でも、中身は全面的に書き換えられています。

◇新手について
前書きに、『石田流道場』を書いた時より、定跡がかなり変わっていると書かれているよ
うに、新手については、多く触れられていると思います。また、実戦で指された手順その
ままではなく、検討しなおして修正が加えられています。

早石田鈴木流では、▲7四飛には△6五角よりも△9二角(第1図)の方が得として解
説されています。(この手自体は最近の新手ではなく、2005年に橋本-北島戦で指さ
れています。)

9手目▲7六飛では、第2図の棋王戦第2局(久保-郷田戦 2012.2.25)の形について
取り上げられています。25手目▲2二角の局面では、▲9五角が正解として、以下形勢
不明としています。

CapD20120620.png

◇各章について
第2章以降については簡単に紹介します。

・第2章 △4二玉早上がり型
▲7五歩 △4二玉の出だしから▲6六歩と角道を止めた形が取り上げられています。

主に△6四歩型の左美濃(銀冠)と、7七角型石田流や7七桂型石田流(本組)の
攻防が解説されています。棒金、右四間、居飛穴にも触れています。

第3図の▲4五銀 △2三銀 ▲6五歩の仕掛けについては、44手目まで久保-谷
川戦(2011.9.16)の手順で進めています。以下、実戦で指された▲7一角についての
言及はなく、▲6四飛 △6三銀で先手苦しいとしています。

CapD20120620_1.png

・第3章 △6二銀型
升田式石田流にする形が中心で、△4四歩型・△3三銀型・△2二玉型と、角交換
を拒否する指し方について解説されています。

・第4章 端歩突き越し型
▲7五歩に対して、最近流行形の△1四歩と突く形が載っています。以下、▲7八飛
 △4二玉 ▲6六歩 △1五歩の形を取り上げており、相振り飛車にする変化は省
略されています。左美濃対美濃、左美濃対穴熊、銀冠~居飛穴対穴熊など持久戦
での戦い方が中心となっています。

・第5章~第7章 相振り飛車
ここでは、▲7五歩に対して、△3五歩、△5四歩、△4四歩などから相振り飛車にする
形が取り上げられています。第6章・第7章は、おまけ程度の内容なので、詳しく勉強
したい方は、他の本を読む必要があると思います。

相早石田型の解説では、第5図の▲4六歩が最善として、互いに高美濃に組む指し
方を中心に解説されています。第5図から△8八角成りとする阿部新手については、
手順を一通り示して(『相振りレボリューション』p197第24図と同じ)、金無双は進
展性にかけるとして後手不満としていますが、話題を呼んだ手なので数ページ取り上
げて欲しかったです。

目新しいのは、▲7五歩 △3五歩 ▲7八飛の形から、△8八角成り ▲同銀
△4五角 ▲7六角に△2二飛(第6図)とする指し方です。これは今まで紹介され
たことがないと思います。
※週刊将棋 美馬和夫氏の講座で紹介されていたようです。

CapD20120620_2.png

◇まとめ
石田流を広く浅く解説するという点では、『久保の石田流』と似ているかもしれませ
ん。しかし、同じページ数で相振り飛車まで取り上げているので、内容はさらに簡潔
なものとなっています。

定跡ガイドというコンセプトなのですが、目次が「第1章 △8五歩早突き型」とい
うようにしか書かれていません。これでは、棒金の定跡について調べたい時などは不
便な感じがします。目次をもう少し詳しくするか、各章初めのチャートを図入りでわ
かりやすくすれば、もっと便利になったと思います。

基本的な事項の説明はあまりされていないので、初心者向けではなく、上級以上の
方向けだと思います。『久保の石田流』、『よくわかる石田流』、『石田流の基本』な
どを持っている人には必要ないかもしれませんが、細かい部分でそれらの本に載って
いない変化も書かれていますので、さらに深く研究したい方は購入する価値はあると
思います。


五段階評価

難易度:★★★★
内容:★★★
解説:★★
実用度:★★★

総合:★★★

1つでも役に立つことがありましたら、クリックしていただければ幸いです。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
にほんブログ村

2012.06.20 / Top↑
tobeisida.png

『石田流の基本【本組みと7七角型】』 戸辺六段著 浅川書房 レビュー

目次と内容

第1章 石田流vs急戦
・スピード棒金
・二枚銀からの棒金
・受けに徹する△3三金
・玉頭銀からの△4四歩
・銀に働きかける△5五歩
・突き捨ての是非
・卒業問題
・袖飛車急戦の狙い
・本組みvs袖飛車急戦

第2章 石田流vs左美濃・銀冠
・7七角型vs左美濃急戦
・7七角型vs銀冠持久戦
・本組みvs銀冠持久戦

第3章 石田流vs居飛車穴熊
・本組みvs居飛車穴熊
・7七角型vs居飛車穴熊(1)
・7七角型vs居飛車穴熊(2)
・石田流相穴熊(1)
・石田流相穴熊(2)


各章の感想

第1章 石田流vs急戦

最初に取り上げられているスピード棒金とは、第1図のように二枚銀にしないで棒金に
する指し方です。これは類書でも多く解説されている形で、同じように▲7九銀型での
棒金対策が載っています。

CapD20120209.png

この章のメインは、二枚銀からの棒金対策(第2図)です。これだけで約50ページ割
かれており、第2図から、▲5六銀~▲4五銀と玉頭銀に出る手が解説されています。

二枚銀からの棒金は、鈴木八段の『石田流の極意』に、▲6七金・▲7七角型(第3図)
にする形が載っています。一方、本書では本組みで対抗しています。

棒金に▲7七桂と上がるのは勇気がいりますが、「二枚銀急戦には、石田流本組みが
基本。」
とし、なぜ7七角型は向かないのかが、きちんと解説されています。玉頭銀と
▲9七角・▲7七桂型からの鋭い捌きは参考になります。


二枚銀からの棒金は、スピード棒金よりも実戦での遭遇率は低いと思いますが、将棋
倶楽部24強豪のS七段が得意としており、この玉頭銀で対抗する形もよく指されてい
ました。棒金にはなりませんでしたが、里見-清水戦(2012.2.5)でも類似の局面が
見られました。

最後に二枚銀からの袖飛車(第4図)について載っています。これもやはり7七桂型で、
鈴木大-阿部戦(2004.5)永瀬-村中戦(2011.3)を基にし、修正手順が加えら
れています。

第1章が最も難易度が高いと記されているように、この章はかなり踏み込んだ内容まで
解説されています。

CapD20120209_1.png


第2章 石田流vs左美濃・銀冠

『よくわかる石田流』の第2章 居飛車持久戦策と同じような内容ですが、本書の方が
戦形を絞って書かれています。

7七角型vs左美濃急戦では、袖飛車での攻防が中心で、△4四歩と角道を止めた形
に対して、▲8六歩(第5図)から動く指し方と、△7四歩 ▲同歩 △同銀と引きつけ
てから▲6五歩と捌く指し方が解説されています。

7七角型vs銀冠持久戦では、△2三銀と上がった時の仕掛けと、後手が工夫してきた
場合に持久戦にする指し方が紹介されています。

本組みvs銀冠持久戦では、第6図などが取り上げられています。『よくわかる石田流』
でも同一局面が解説されており、ここでの▲6五歩はやや無理としています。本書で
は、戸辺六段自身が実戦で試してみたいという新手が公開されています。どんな手な
のかは伏せておきますが、あまり思いつかない手でした。

なお、第2章では『戸辺流現代振り飛飛車手筋集』で解説されていた▲4五銀~▲6
五歩
の仕掛けについての最新研究が掲載されていると期待していましたが、これに
ついては、一切触れられておらず、残念に思いました。

CapD20120209_2.png


第3章 石田流vs居飛車穴熊

石田流対居飛穴について詳しく書かれた棋書は、『石田流の極意』がありました。極
意では、7七桂型と7八金型について約60ページ、本書では7七角型(第7図)と相
穴熊を中心に約65ページ解説されています。

石田流の相穴熊については、棋書がほとんどなかったので貴重だと思います。第8図
から、戸辺六段が奨励会時代から研究していたという自慢の一手が載っており、これ
は必見でしょう。

CapD20120209_3.png

まとめ

本書は、帯に「乱戦にしない石田流」と書かれているように、美濃囲い以上に玉を囲
ってからの戦い方が解説されており、本組みや7七角型の石田流を指す上で大切な知
識が詰め込まれた一冊です。

石田流を一から勉強したい人に読んで欲しいということですが、初心者には少し難し
い内容が多いかもしれません。中級~有段者向けだと思います。

本書は読み進めていく間に、石田流からの捌きのコツや攻めの手筋が自然と身につく
ように構成が工夫されています。例えば、同じ形の仕掛けが繰り返して出てきます。
駒の配置によって、仕掛けの成否が別れることがありますが、その点までも詳しく解説
しているので、棋力向上に大いに役立つと思います。

他書との比較

石田流本組みに重点を置いた本という点は、『石田流の極意』と似ています。しかし、
指し方が違っており、新手や新定跡が解説されていますので、『石田流の極意』を持
っていても購入して損はないと思います。

『久保の石田流』や『よくわかる石田流』とは、棒金や袖飛車の基本的な受け方や、
銀冠持久戦策に類似した内容がありますが、コンセプトが違う本ですので、さらに本
組みや7七角型について勉強したい方には絶好の一冊となるでしょう。

不満な点

本書のサブタイトルが『本組みと7七角型』となっているのですが、7七角型石田流
に割かれているページは全体の1/3以下です。7七角型について詳しく知りたい方
には少し不満が残るかもしれません。

また、各ページに、基本・応用・プロ級と難易度が示されていますが、ほとんどのペ
ージが基本になっています。同じ出版社の『四間飛車破り』(渡辺竜王著)でも同様
の印がついていますが、きちんとレベル分けされていました。本書では実際のレベ
ルと合わないものが多く、あまり意味をなしていないと感じました。


五段階評価

難易度:★★~★★★★★
内容:★★★
解説:★★★★
実用度:★★★

総合:★★★★

1つでも役に立つことがありましたら、クリックしていただければ幸いです。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
にほんブログ村

2012.02.09 / Top↑
yokuwakaisida.png

高崎五段の『よくわかる石田流』を購入したので、感想を書いてみたいと思います。
急戦から持久戦まで幅広くカバーしているという点で、『久保の石田流』と似ている
ので、2冊を比較しながら書いてみます。

<目 次>

第1章 石田流対棒金・二枚銀
 石田流対棒金・二枚銀(前編)
 石田流対棒金・二枚銀(後編)

第2章 居飛車持久戦策
 居飛車持久戦策 △5四歩・△5三銀型
 居飛車持久戦策 △6四歩・△6三銀型

第3章 石田流対右四間飛車
 石田流対右四間飛車 急戦編
 石田流対右四間飛車 持久戦編

第4章 升田式石田流
 升田式石田流(序編)
 升田式石田流(本編)
 升田式石田流(早石田)

第5章 対4手目角交換

補足の章



石田流対棒金・二枚銀(前編)

章の名前が石田流対棒金・二枚銀になっていますが、二枚銀からの棒金についてで
はなく、棒金と二枚銀について書かれています。

▲7七桂型の石田流→一目散の棒金には捌けるが、△3三銀と上がる森内新手でう
まくいかない→▲7七桂を保留し、△8三金を見てから▲7八飛と引くのが有力 という
流れは『久保の石田流』と同じです。

単純な棒金ではうまくいかないので、次に、最近の主流になっている二枚銀から△7
二飛とする袖飛車の解説に入ります。高崎-郷田戦(2008.8)がベースになっていま
すが、第1図から実戦で指した▲7七桂は疑問として▲5五歩の変化を取り上げてい
ます。

結局、▲6七金・▲6八銀型では十分に戦えないので、後半では▲7七角型(第2図)
が登場します。本章の難易度は、難易度★★となっているのですが、このあたりは有
段者レベルの内容だと思います。

CapD20120130.png

石田流対棒金・二枚銀(後編

最新形の▲3八銀~▲3九玉、▲5八金を保留して▲6八銀~▲6七銀とする駒組を解
説しています。この駒組のメリットについては、『久保の石田流』よりも詳しく、▲5六銀
と早く出る手や、▲7八金型が書かれています。袖飛車に対する攻防がメインですが、
▲7七角と上がり石田流を回避する手にも触れられています。

この章では、棒金については載っていません。できれば、▲7七角・▲6七銀型に対す
る棒金にも言及して欲しかったと思います。


居飛車持久戦策 △5四歩・△5三銀型

△5四歩・△5三銀型(左美濃)に対しては、石田流本組にするのがベストとして、基
本的な攻め方や手筋を交えて解説しています。『久保の石田流』では「4手目△5四歩」
で少し書かれています。

△4四歩と角道を止めると本組からの攻めが厳しい→△2三銀から銀冠にするのは、そ
の瞬間に攻められる→△4四銀~△4二角~△3三銀と堅くする→▲7九角~▲5七角
と転換させて先手戦えるという流れです。


居飛車持久戦策 △6四歩・△6三銀型

△6四歩・△6三銀型(左美濃・銀冠・穴熊)に対して、石田流本組と▲7七角型での
攻防が34ページに渡って解説されています。この章は『久保の石田流』の「後手の左美
濃」にあたります。

前半は、△6五歩問題は大丈夫→△8四飛から銀冠や居飛穴にするのは、ダイヤモンド
美濃で対抗して戦える→△9四歩から△9二飛の千日手作戦が難敵という内容です。

後半では▲7七角型の石田流が登場します。最新の▲4五銀~▲6五歩の仕掛けが、久
保-谷川戦(2011.9)などを参考にして解説されています。第4図の分れは先手良さそう
に見えるが、先手陣は見た目以上に薄いので先手大変としています。

最後に▲4六歩~▲4七銀とダイヤモンド美濃にする持久戦の戦い方が解説されていま
す。これは『久保の石田流』でも触れられていますが、形が違っています。

CapD20120130_1.png


石田流対右四間飛車 急戦編

右四間飛車については、『久保の石田流』には載っておらず、鈴木八段の『石田流の
極意』でも簡単にしか解説されていませんでした。本書では急戦編・持久戦編と35ペ
ージに渡って取り上げられています。アマではよく見られる戦形なので待っていた方
も多いのではないでしょうか。

△6三銀型からの△6五歩(第5図)の仕掛けから、△5四銀型では、先手が▲7九
銀型、▲6八銀型など、局面ごとに△6五歩に対する攻防が解説されています。

また、中盤以降の戦い方にも言及しています。第6図は、鈴木大-鈴木輝戦(2001.4)
や鈴木大-杉本戦(2009.8)がベースとなっていますが、研究手順が加えられており、
かなりハイレベルな内容です。

CapD20120130_2.png

石田流対右四間飛車 持久戦編

右四間+居飛穴が取り上げられています。△5四銀が早い場合と△6三銀で待機して
いる場合を解説していますが、先手は、序盤から積極的に動いていけば、十分対応で
きるとしています。

升田式石田流 序編

升田式石田流に組み上げるまでの△4五角問題や、△8六歩問題について書かれて
おり、『久保の石田流』の「升田式石田流の基礎知識」と似た内容です。ただし、変化
手順は違っているものがあります。

升田式石田流 本編

本編は、▲7六飛と升田式石田流に組み上げた形を取り上げています。これは、『久
保の石田流』や『戸辺流現代振り飛車手筋集』で解説されている内容とほぼ同じです。

第7図は、現在の課題となっている局面として『久保の石田流』にも載っていますが、
本書では9ページ割いています。(『久保の石田流』では2ページ。)永瀬-村山戦
(2011.5)、高崎-橋本戦(2010.1)、菅井-大石戦(2011.7)などをベースに、難
しい変化まで掘り下げられています。

升田式石田流(早石田

鈴木流、久保流急戦、早石田5八玉、早石田4八玉、菅井新手などについて簡単に触
れています。(固有名詞で○○流とは書かれていません。)これらについての解説は、
『久保の石田流』の方が詳しく、ここを読んだだけで、各種の早石田を指すのは難し
いと思います。

早石田4八玉では、久保-渡辺戦(2010.9)の進行から△3五歩として相振りにする指
し方が載っています。これは知りませんでした。

CapD20120130_3.png

4手目角交換

『久保の石田流』では「石田流の入口」に、少し載っている程度ですが、本書では18
ページ書かれています。4手目角交換に▲同飛から△2八角と打ち込む乱戦は、永瀬
-高崎戦(2011.2)が基になっていますが、第9図から実戦で指した△6五角ではなく、
△4四角で難解ながらも後手持ちとしています。

4手目角交換から▲8八銀に△5四歩と突く最新形についても7ページ解説されてい
ます。第10図から▲7七銀と上がる指し方は、24高段者の将棋でもよく見かけてい
ましたが、わからない部分がありました。本書の解説は参考になると思います。

CapD20120130_4.png

補足の章

居飛車持久戦策の補足として、居飛車が△5三銀型や△6三銀型の形を保留する指
し方について触れています。また、右四間飛車の補足として山本流石田封じが、4手
目角交換△5四歩型の補足として、▲8六歩と突っ張る指し方が解説されています。


まとめ

『久保の石田流』をお持ちの方にも、お勧めできる良書だと思います。

本書の内容は、『久保の石田流』と重複する部分がありますが、取り上げる局面など
は違っています。『久保の石田流』では書かれていない右四間飛車が詳しく解説され
ており、本組や7七角型石田流、4手目角交換などについても本書の方が充実してい
ます。逆に後手石田流や2手目3二飛戦法については載っていません。 

ただ、『久保の石田流』と比較して、中盤以降の変化が詳しく書かれており、また、プ
ロの最新研究が散りばめられているので、難解かもしれません。全体的には、上級~
有段者向けの本だと感じました。

しかし、解説は丁寧でわかりやすいので、盤に並べながら読んでいけば、級位者の方
でも十分理解できると思います。もし、二冊の購入を考えているようでしたら、『久保
の石田流』から入るべきでしょう。

また、本書には実戦譜がついていませんが、ネットで棋譜が簡単に入手できる時代な
のであまり必要はないと思います。

五段階評価

難易度:★★★★★
内容:★★★
解説:★★★
実用度:★★★

総合:★★★★

1つでも役に立つことがありましたら、クリックしていただければ幸いです。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
にほんブログ村




2012.01.30 / Top↑
将棋世界11月号をざっと読みましたが、勉強になったことが数多くありました。三間
飛車党の視点で、気になった記事を紹介してみます。


竜王戦挑戦者決定戦 久保-丸山戦の解説

43手目▲1五歩の感触が良いので、40手目は、じっと△6四歩が有力なのだそうです。
24高段者の将棋でも、この手は指されていました。実戦は、やはり71手目の▲3六歩
が敗着だったようです。

CapD20111004.png


新・イメージと読みの将棋観

テーマ1で、第2図が取り上げられています。最近は、▲4五銀~▲6五歩の将棋が
多く指されているのですが、第2図の▲6五歩もまだ結論は出ていません。

次に△同歩 ▲同銀 △6二飛も難しいですが、トッププロは、豊島新手の△8四飛
が有力と見ているようです。以下、▲4六歩 △6五歩 ▲6五同銀の変化は後手が
良いので、△8四飛に何か手があるのかということでした。

24高段者の将棋では、ここで▲4五銀(第3図)と指す手が指されていました。

CapD20111004_1.png


「突き抜ける!現代将棋」相振り感覚、新旧対決!

菅井五段・永瀬四段・久保二冠・藤井九段という豪華メンバーが、相振り飛車につい
てのインタビュー(相振りの囲い・菅井流・初手▲5六歩などについて)に答えてい
ます。

先月の講座「相振りに何が起こったか?」は、ほとんど知っている内容でしたが、今
月の講座は知らないことが多く、とても興味深い内容でした。なかでも、

・菅井流を思いついたのは、奨励会2級(13歳)の対局中だった。
・菅井流は、飛車先の歩を保留して王を囲われると無理筋か?
・永瀬四段が、▲7六歩 △3四歩に▲6六歩を指さなくなった理由。
・藤井九段「相振りはまだ原始時代。」

などが印象に残っています。


勝又教授の勝手に戦法ランキング

先手角道オープン四間飛車に対して、4手目△3二飛は門倉四段の構想により危険だ
ということが書かれていました。これは、ブログの『角道オープン四間飛車対三間飛車1』
に補足しておきました。

また、広瀬七段の自戦記も素晴らしかったです。先月号・今月号の付録 藤井矢倉は、
単行本にしなかったのがもったいないくらいの付録だと思います。


1つでも役に立つことがありましたら、クリックしていただければ幸いです。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
にほんブログ村







2011.10.04 / Top↑
相振り飛車本の第一人者である杉本七段の新著「相振りレボリューション」が発売され
たので早速購入しました。まだ、ざっと目を通しただけなのですが、紹介してみたい
と思います。

airev2.jpg

目次は下の通りです。宣伝帯に「主流は向い飛車から三間飛車に」と書かれているよ
うに、本書は三間飛車に関連する内容が90%近くを占めています。

序章 現代相振りの考え方
第1章 先手三間VS後手5三銀型三間(先手ジックリ型)
第2章 先手三間VS後手5三銀型三間(先手軽快型)
第3章 相三間後手の秘策
 第1節 8二角転換作戦
 第2節 後手穴熊作戦
第4章 先手向かい飛車VS後手三間
第5章 その他の相振り、速攻三間、左穴熊対策
 第1節 その他の相振り
 第2節 先手三間超急戦
 第3節 東大流左穴熊中飛車対策


第1章~第3章にわたる先手三間対後手5三銀型三間が本書のメインであり、約130
ページに渡っています。戸辺六段の「なんでも三間飛車」には、先手三間対後手5三
銀型向い飛車が解説されていますが、この形について詳しく書かれたのは本書が初め
てかと思います。

先手三間対後手5三銀型三間は、先日の倉敷藤花戦三番勝負で、全てこの形になった
ように現在大流行中です。本書は、相振り飛車を指す方にとっては、貴重な一冊にな
りそうです。

先手三間対後手5三銀型三間については、目次の通り、先手ジックリ型・先手軽快型
・後手8二角転換型・後手穴熊型の4つに分類して解説されています。

先手ジックリ型では、第1図のような相高美濃戦や矢倉対高美濃戦、第2図のような
相矢倉戦での戦い方について書かれています。

CapD20101114.png

先手軽快型では、第3図のように先手が早めに7筋の歩を交換し、7九銀型のまま
第4図に進み、ここから▲2六飛や、それを防がれた時の端攻めなどについて書かれ
ています。

CapD20101114_1.png

後手8二角転換型は、このブログでも紹介している第5図から△8二角と引いて戦う
形です。この作戦は、先手が▲7四歩を交換してこない場合には成立しないのですが、
その時には、第6図のように穴熊に組んで戦う指し方が、後手穴熊型として解説され
ています。

CapD20101114_2.png

第4章の先手向い飛車対後手三間飛車については、約40ページほど書かれています。
第7図から後手が△4五歩~△6五歩と攻める指し方(当ブログでは菅井流として
紹介)が優秀で、矢倉の価値が低くなったことに触れています。
また、菅井流を嫌って先手が▲4六歩と突かずに低い構えで対抗する指し方や、そ
れに対する△4四銀型(第8図)などが解説されています。

CapD20101114_3.png

第5章は、その他の相振り・速攻三間・東大流中飛車左穴熊についてです。当ブログ
で載せたばかりの阿部構想も取り上げています。第9図では、▲8八同飛が最善では
ないかという見解と、その後の指し方について説明されています。阿部新手は、相三
間の常識を根本から覆すかもしれないと書かれているのが印象的です。

東大流中飛車左穴熊というのは第10図の形なのですが、この名称は初めて知りました。
これに対して淡々と駒組を進めると、後手が指しにくくなるので、その対策について
15ページほど書かれています。

CapD20101114_4.png

また、相振りの本なのに、早石田9手目5八玉について20ページほど解説されていま
す。これは、三間飛車党にとっては、うれしいおまけです。少し前に出版された村山
五段の「ライバルに勝つ最新定跡」にも、この早石田について書かれていましたが、
そちらよりも詳しいと思います。(稲葉新手といわれるこの9手目5八玉ですが、本
書では菅井四段や都成三段の研究成果と書かれています。)

本書では、序盤の注意点についても細かく触れています。例えば、第11図では▲6七
銀でなく▲5八金と上がり、△3六歩と突かれたら第12図のように▲4六歩で受けた
方が良い理由などが説明されています。

CapD20101114_5.png


また、同じ局面を先手・後手それぞれの視点から見て、どう指していけばよいのか解
説するなど斬新な手法も試みられています。

三間飛車党にとってはもちろん、先手▲7五歩を指す方には超お勧めの本なのですが、
最先端の形を詰め込んだ中身の濃い内容となっていますので、初心者には厳しい本か
もしれません。

五段階評価

難易度:★★★★
内容:★★★★★
解説:★★★★
実用度:★★★★★

総合:★★★★★


ランキングに加入しました。よろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 将棋へ
にほんブログ村

2010.11.14 / Top↑

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。