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『早分かり 石田流 定跡ガイド』 所司和晴著 マイナビ発行 レビュー

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定跡伝道師と言われ、多数の定跡書を書かれている所司七段が、『早分かり 石
田流 定跡ガイド』を出されました。居飛車党の先生なので、あまり期待していませ
んでしたが、知らないことが多く書かれており、収穫がたくさんありました。

◇目次
第1章 △8五歩早突き型    p5~p62
第2章 △4二玉早上がり型   p63~p116
第3章 △6二銀型        p117~p146
第4章 端歩突き越し型     p147~p164
第5章 △3五歩型相振り飛車 p165~p196
第6章 △5四歩型相振り飛車 p197~p210
第7章 △4四歩型相振り飛車 p211~p222

◇本書の構成
本書は、戦法によってではなく、▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩の次に、後手が何を
指すかによって章が分けられています。

第1章について詳しく見てみますと、

☆第1章 △8五歩早突き型
・チャート(図はなし) 1ページ
・基本図まで (基本図までの説明) 4ページ
・▲7四歩の変化 (基本図から▲7四歩) 1ページ
・▲7四歩~▲5八玉 (早石田▲5八玉) 8ページ
・▲7四同飛~△9二角・▲7四同飛~△6五角 (早石田鈴木流) 14ページ
・▲4八玉~▲7四歩 (久保流▲7五飛) 8ページ
・▲4八玉~▲3八玉 (升田式石田流) 12ページ
・▲4八玉~▲7六飛 (9手目▲7六飛) 8ページ
・各章のまとめ 1ページ
※早石田菅井新手・早石田▲4八玉については、変化で触れているのみ。

という構成になっています。各章の内容についても、▲4八玉~▲7四歩というように、
指し手で区分されており、○○流といった名称は使われていません。

また、分かれの局面図には、ほぼ全てに8段階に分けた形勢判断の記号(チェスで使
われている世界共通のもの)がついています。

◇『石田流道場』との比較
所司先生は、2004年に『石田流道場』を出されています。▲7五歩の次に何を指すか?
という構成は同じですが、『石田流道場』では、6二銀型・4二玉型・8四歩型・6六歩
型(角道を止める石田流)の4章構成でした。

本書では、最近増えている端歩突き越し型や相振り飛車にする章をも加えて7章にな
っています。また、同じ6二銀型でも、中身は全面的に書き換えられています。

◇新手について
前書きに、『石田流道場』を書いた時より、定跡がかなり変わっていると書かれているよ
うに、新手については、多く触れられていると思います。また、実戦で指された手順その
ままではなく、検討しなおして修正が加えられています。

早石田鈴木流では、▲7四飛には△6五角よりも△9二角(第1図)の方が得として解
説されています。(この手自体は最近の新手ではなく、2005年に橋本-北島戦で指さ
れています。)

9手目▲7六飛では、第2図の棋王戦第2局(久保-郷田戦 2012.2.25)の形について
取り上げられています。25手目▲2二角の局面では、▲9五角が正解として、以下形勢
不明としています。

CapD20120620.png

◇各章について
第2章以降については簡単に紹介します。

・第2章 △4二玉早上がり型
▲7五歩 △4二玉の出だしから▲6六歩と角道を止めた形が取り上げられています。

主に△6四歩型の左美濃(銀冠)と、7七角型石田流や7七桂型石田流(本組)の
攻防が解説されています。棒金、右四間、居飛穴にも触れています。

第3図の▲4五銀 △2三銀 ▲6五歩の仕掛けについては、44手目まで久保-谷
川戦(2011.9.16)の手順で進めています。以下、実戦で指された▲7一角についての
言及はなく、▲6四飛 △6三銀で先手苦しいとしています。

CapD20120620_1.png

・第3章 △6二銀型
升田式石田流にする形が中心で、△4四歩型・△3三銀型・△2二玉型と、角交換
を拒否する指し方について解説されています。

・第4章 端歩突き越し型
▲7五歩に対して、最近流行形の△1四歩と突く形が載っています。以下、▲7八飛
 △4二玉 ▲6六歩 △1五歩の形を取り上げており、相振り飛車にする変化は省
略されています。左美濃対美濃、左美濃対穴熊、銀冠~居飛穴対穴熊など持久戦
での戦い方が中心となっています。

・第5章~第7章 相振り飛車
ここでは、▲7五歩に対して、△3五歩、△5四歩、△4四歩などから相振り飛車にする
形が取り上げられています。第6章・第7章は、おまけ程度の内容なので、詳しく勉強
したい方は、他の本を読む必要があると思います。

相早石田型の解説では、第5図の▲4六歩が最善として、互いに高美濃に組む指し
方を中心に解説されています。第5図から△8八角成りとする阿部新手については、
手順を一通り示して(『相振りレボリューション』p197第24図と同じ)、金無双は進
展性にかけるとして後手不満としていますが、話題を呼んだ手なので数ページ取り上
げて欲しかったです。

目新しいのは、▲7五歩 △3五歩 ▲7八飛の形から、△8八角成り ▲同銀
△4五角 ▲7六角に△2二飛(第6図)とする指し方です。これは今まで紹介され
たことがないと思います。
※週刊将棋 美馬和夫氏の講座で紹介されていたようです。

CapD20120620_2.png

◇まとめ
石田流を広く浅く解説するという点では、『久保の石田流』と似ているかもしれませ
ん。しかし、同じページ数で相振り飛車まで取り上げているので、内容はさらに簡潔
なものとなっています。

定跡ガイドというコンセプトなのですが、目次が「第1章 △8五歩早突き型」とい
うようにしか書かれていません。これでは、棒金の定跡について調べたい時などは不
便な感じがします。目次をもう少し詳しくするか、各章初めのチャートを図入りでわ
かりやすくすれば、もっと便利になったと思います。

基本的な事項の説明はあまりされていないので、初心者向けではなく、上級以上の
方向けだと思います。『久保の石田流』、『よくわかる石田流』、『石田流の基本』な
どを持っている人には必要ないかもしれませんが、細かい部分でそれらの本に載って
いない変化も書かれていますので、さらに深く研究したい方は購入する価値はあると
思います。


五段階評価

難易度:★★★★
内容:★★★
解説:★★
実用度:★★★

総合:★★★

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2012.06.20 / Top↑
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