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『石田流の基本【本組みと7七角型】』 戸辺六段著 浅川書房 レビュー

目次と内容

第1章 石田流vs急戦
・スピード棒金
・二枚銀からの棒金
・受けに徹する△3三金
・玉頭銀からの△4四歩
・銀に働きかける△5五歩
・突き捨ての是非
・卒業問題
・袖飛車急戦の狙い
・本組みvs袖飛車急戦

第2章 石田流vs左美濃・銀冠
・7七角型vs左美濃急戦
・7七角型vs銀冠持久戦
・本組みvs銀冠持久戦

第3章 石田流vs居飛車穴熊
・本組みvs居飛車穴熊
・7七角型vs居飛車穴熊(1)
・7七角型vs居飛車穴熊(2)
・石田流相穴熊(1)
・石田流相穴熊(2)


各章の感想

第1章 石田流vs急戦

最初に取り上げられているスピード棒金とは、第1図のように二枚銀にしないで棒金に
する指し方です。これは類書でも多く解説されている形で、同じように▲7九銀型での
棒金対策が載っています。

CapD20120209.png

この章のメインは、二枚銀からの棒金対策(第2図)です。これだけで約50ページ割
かれており、第2図から、▲5六銀~▲4五銀と玉頭銀に出る手が解説されています。

二枚銀からの棒金は、鈴木八段の『石田流の極意』に、▲6七金・▲7七角型(第3図)
にする形が載っています。一方、本書では本組みで対抗しています。

棒金に▲7七桂と上がるのは勇気がいりますが、「二枚銀急戦には、石田流本組みが
基本。」
とし、なぜ7七角型は向かないのかが、きちんと解説されています。玉頭銀と
▲9七角・▲7七桂型からの鋭い捌きは参考になります。


二枚銀からの棒金は、スピード棒金よりも実戦での遭遇率は低いと思いますが、将棋
倶楽部24強豪のS七段が得意としており、この玉頭銀で対抗する形もよく指されてい
ました。棒金にはなりませんでしたが、里見-清水戦(2012.2.5)でも類似の局面が
見られました。

最後に二枚銀からの袖飛車(第4図)について載っています。これもやはり7七桂型で、
鈴木大-阿部戦(2004.5)永瀬-村中戦(2011.3)を基にし、修正手順が加えら
れています。

第1章が最も難易度が高いと記されているように、この章はかなり踏み込んだ内容まで
解説されています。

CapD20120209_1.png


第2章 石田流vs左美濃・銀冠

『よくわかる石田流』の第2章 居飛車持久戦策と同じような内容ですが、本書の方が
戦形を絞って書かれています。

7七角型vs左美濃急戦では、袖飛車での攻防が中心で、△4四歩と角道を止めた形
に対して、▲8六歩(第5図)から動く指し方と、△7四歩 ▲同歩 △同銀と引きつけ
てから▲6五歩と捌く指し方が解説されています。

7七角型vs銀冠持久戦では、△2三銀と上がった時の仕掛けと、後手が工夫してきた
場合に持久戦にする指し方が紹介されています。

本組みvs銀冠持久戦では、第6図などが取り上げられています。『よくわかる石田流』
でも同一局面が解説されており、ここでの▲6五歩はやや無理としています。本書で
は、戸辺六段自身が実戦で試してみたいという新手が公開されています。どんな手な
のかは伏せておきますが、あまり思いつかない手でした。

なお、第2章では『戸辺流現代振り飛飛車手筋集』で解説されていた▲4五銀~▲6
五歩
の仕掛けについての最新研究が掲載されていると期待していましたが、これに
ついては、一切触れられておらず、残念に思いました。

CapD20120209_2.png


第3章 石田流vs居飛車穴熊

石田流対居飛穴について詳しく書かれた棋書は、『石田流の極意』がありました。極
意では、7七桂型と7八金型について約60ページ、本書では7七角型(第7図)と相
穴熊を中心に約65ページ解説されています。

石田流の相穴熊については、棋書がほとんどなかったので貴重だと思います。第8図
から、戸辺六段が奨励会時代から研究していたという自慢の一手が載っており、これ
は必見でしょう。

CapD20120209_3.png

まとめ

本書は、帯に「乱戦にしない石田流」と書かれているように、美濃囲い以上に玉を囲
ってからの戦い方が解説されており、本組みや7七角型の石田流を指す上で大切な知
識が詰め込まれた一冊です。

石田流を一から勉強したい人に読んで欲しいということですが、初心者には少し難し
い内容が多いかもしれません。中級~有段者向けだと思います。

本書は読み進めていく間に、石田流からの捌きのコツや攻めの手筋が自然と身につく
ように構成が工夫されています。例えば、同じ形の仕掛けが繰り返して出てきます。
駒の配置によって、仕掛けの成否が別れることがありますが、その点までも詳しく解説
しているので、棋力向上に大いに役立つと思います。

他書との比較

石田流本組みに重点を置いた本という点は、『石田流の極意』と似ています。しかし、
指し方が違っており、新手や新定跡が解説されていますので、『石田流の極意』を持
っていても購入して損はないと思います。

『久保の石田流』や『よくわかる石田流』とは、棒金や袖飛車の基本的な受け方や、
銀冠持久戦策に類似した内容がありますが、コンセプトが違う本ですので、さらに本
組みや7七角型について勉強したい方には絶好の一冊となるでしょう。

不満な点

本書のサブタイトルが『本組みと7七角型』となっているのですが、7七角型石田流
に割かれているページは全体の1/3以下です。7七角型について詳しく知りたい方
には少し不満が残るかもしれません。

また、各ページに、基本・応用・プロ級と難易度が示されていますが、ほとんどのペ
ージが基本になっています。同じ出版社の『四間飛車破り』(渡辺竜王著)でも同様
の印がついていますが、きちんとレベル分けされていました。本書では実際のレベ
ルと合わないものが多く、あまり意味をなしていないと感じました。


五段階評価

難易度:★★~★★★★★
内容:★★★
解説:★★★★
実用度:★★★

総合:★★★★

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2012.02.09 / Top↑
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