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待望の『菅井ノート 先手編』が発売されましたので、類書と比較しながら感想を書いて
みたいと思います。

購入前に本書の写真を見た時に、表紙が▲7六飛の局面なので、早石田の菅井新手
をメインにして書かれた本だと考えていました。しかし、目次を見ればわかるように菅
井新手(文中では▲7六飛早浮き型と表現)を特に詳しく解説した本ではありません。

石田流について約54%、先手中飛車が約36%、相振り飛車が約10%といった構成です。

目次
第1章 石田流急戦 (59ページ)
・▲7四歩急戦型
・▲4八玉型
・▲7六飛早浮き型
第2章 石田流持久戦 (41ページ)
・△3一玉左美濃
・▲7七角型
第3章 石田流VS角交換型 (32ページ)
・後手角交換型
・振り飛車の修正案
第4章 石田流VS△1四歩型 (16ページ)
・最新の△1四歩型
・△1四歩の対抗案
第5章 先手中飛車VS△6四銀 (57ページ)
・△6四銀対抗型-△2二玉型
・△6四銀対抗型-△3二玉型
第6章 中飛車VS持久戦 (25ページ)
第7章 中飛車VS一直線穴熊 (18ページ)
第8章 相振り飛車 (27ページ)
・定跡編
・実戦編



内容について

・▲4八玉型型(早石田9手目▲4八玉型)
この形については、将棋倶楽部24高段者の勝率が極端に悪く、あまり指す気にはな
りませんでした。その原因は、△4五角問題にあるわけですが、今まで指されていた
▲5五角は甘く、現在最善と考えられているのが▲7四飛(第1図)だとは、この本を
読んで初めて知りました。石田流急戦▲4八玉型の結論は互角としています。

・▲7六飛早浮き型(菅井新手)
『久保の石田流』では5ページ、『よくわかる石田流』では5ページでしたが、本書では
13ページ書かれています。菅井-谷川戦をベースに△4五角問題は振り飛車良しと
して、次に△3二銀と△2二銀を解説しています。

『よくわかる石田流』には△2二銀はよくないとされていましたが、本書では「最も形勢
のバランスを保つことができる一手」と書かれています。△3二銀の場合も、△3三銀
と上がれば同じ形になるのですが、△3二銀型で通した時にスイッチバック自陣角で
振り飛車十分としています。

△3三銀・△6二銀の形では、▲7四歩に対して△7二金(第2図)の受けは危険とい
うことと、それに代わる手の解説はこの形に興味がある人には必読です。ただ、『よ
くわかる石田流』で、先手十分と書かれている△2二銀 ▲7七桂 △3三銀の時に
▲7四歩と仕掛ける手には触れられていませんでした。

CapD20130128.png

・石田流持久戦
△3一玉左美濃では本組みについて、▲7七角型では左美濃5四歩型について書か
れており、第3図からの攻防がテーマになっています。これは、『石田流の基本 本
組みと7七角型』には載っていなく、『よくわかる石田流』とは重複する部分もあります
が、27ページに渡ってより詳しく解説されています。

▲4五銀 △2三銀に▲6五歩と仕掛ける手については、その変遷やなぜ指されなくな
ったのかを、久保先生の対局などを基にして説明しています。それに代わって指され
るようになった▲9六歩については、現在後手持ちの空気としています。

最後に斎藤慎四段戦で指された菅井五段の研究手▲9八香(第4図)が解説されてい
ます。一手一手に深い意味があるものだと感心しました。

CapD20130128_1.png

・石田流VS角交換型
▲7五歩に対する4手目角交換についてですが、△8八角成り ▲同銀 △4二玉に
は、▲6八飛の途中下車で先手指せるとしながらも、△8八角成り ▲同銀 △5四歩
に▲6八飛は、向い飛車にされて先手に苦労が多いと書かれています。

そこで、振り飛車の修正案として、最新形の▲同銀 △5四歩 ▲7七銀(第5図)を
取り上げています。▲7七銀以下、『よくわかる石田流』では向い飛車にする手が解
説されていましたが、ここでは向い飛車は不満として、中飛車にする手を本筋として
います。

なお、4手目角交換は『石田流の基本 早石田と角交換型』でも50ページと多く扱わ
れています。しかし、戸部先生の本では、△8八角成り ▲同飛 △4五角 ▲7六角 
△4二玉に▲3八金とする形と、角交換に▲同銀と取り、▲6八飛の途中下車から三
間飛車にする形が中心で、6手目△5四歩型には触れられていないので内容のだぶり
は、ほとんどありません。

・石田流VS△1四歩型
石田流に対して流行の4手目に△1四歩とする形が取り上げられています。他書には
あまりかかれていない形ですが、所司先生の『早分かり石田流ガイド』には18ページ
解説されています。

この形で注目されているのは、▲7八飛 △8八角成り ▲同銀に△3二銀の西尾流
(第6図)です。これは『早分かり石田流ガイド』では全く触れられていません。逆に本
書は西尾流に対する攻防が中心となっています。

西尾流が優秀で、振り飛車が苦戦している現状が書かれていますが、その対抗策や
菅井五段の研究手が披露されています。

CapD20130128_2.png

第5章~第7章の先手中飛車については、ざっと目を通しただけですが、最近公式戦
でよく目にする形が取り上げられています。中飛車についても、基本的な事項にはあ
まり触れられていないようです。先手中飛車にも菅井流があったのですね。

・相振り飛車
第8章では石田流対策としての相振り飛車という視点で、▲7五歩 △3五歩の相石田
流と△5四歩からの5三銀型向い飛車が解説されています。

相石田流では、当ブログでも解説した11手目▲7六飛型が最新形として取り上げられ
ています。5四歩型では、なぜその形が激減したのかが書かれています。

相振り飛車に関しては、他と比べてページ数が少なく、内容もやや浅く感じました。矢
倉に対する菅井流については、後手の戦法ということもあるせいか、取り上げられて
いませんでしたが、少し言及して欲しかったように思います。


まとめ

石田流についての本は、ここ数年で何冊か出版されました。本書は、取り上げられてい
る形は同じでも、内容に重複は少なく、他には出ていない手が多く解説されています。
特に最新形を追及している方には気になる形の情報が多く掲載されているのではないで
しょうか。

最新形の解説に重点を置いていますので、類書と比較すると難易度が高いと思います。
基本の部分の解説は少なく、長い手数で説明している箇所も多いので、並べながら読ま
ないとついていけませんでした。

また、図面3つで解説されている箇所があり、『菅井ノート』中の菅井ノートとして菅井五
段の研究が公開されています。(菅井ノートと明記されていないものもあり)その内容は
プロレベルだと感じましたが、興味深いものが多いです。

最後に気になった点ですが、形勢判断や指し手に疑問を感じるものがいくつかありまし
た。これは、菅井先生とアマの感覚との差なのかもしれません。


対象レベル 上級~有段

五段階評価

難易度:★★★★★
内容:★★★★
解説:★★★
実用度:★★★

総合:★★★★


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2013.01.28 / Top↑

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