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前回紹介した羽生-丸山戦では、テーマ図で△2六馬と指しましたが、今回は、ここで
△5四歩と突く形について取り上げます。先手は、1.▲同飛や、2.▲7七角が考えら
れます。

CapD20130916.png

1.▲同飛(第1図)

第1図以下の指し手
△3六馬 ▲7四飛 △7三歩 ▲7五飛 △5二飛 ▲3四歩
△4五桂 ▲4八銀(第2図)

▲同飛と取る手は、形は少し違いますが、羽生-丸山戦で指された手です。同じように
進むと、▲3八金と△2六馬が入っていないので後手の攻めが一手早くなります。また
▲4九玉と逃げられないので、先手が良くないと思います。

CapD20130916_1.png

2.▲7七角

テーマ図以下の指し手
▲7七角 △5二飛(第3図)

CapD20130916_2.png

第3図は『菅井ノート 先手編』に、『玉頭を狙われた先手が少し面白くない。』と書かれ
ている局面です。しかし、以下の進行については解説されていません。菅井先生がそう
判断しているのですから、先手が大変だとは思いますが、いろいろ面白そうな手も見え
ます。

第3図から、①▲8六角、②▲3五飛、③▲5九角について検討してみます。


①▲8六角(第4図)

第4図以下の指し手
△4一玉 ▲3三飛成り △同金 ▲5三桂(第5図)

CapD20130916_3.png

強襲が成立するかは微妙

▲8六角の王手は、後手陣の欠点を突いた手です。△5一玉は▲3一角成りがあるので、
△4一玉と逃げますが、▲3三飛成りが強い手です。△同金に▲5三桂が継続手です。

後手は、(1) △3二玉と逃げるか、(2)△同飛と取るかの二択でしょう。

第5図以下の指し手(1)
△3二玉 ▲6一桂成り △2六馬 ▲3七桂(第6図)

▲6一桂成りには、△2六馬と引いて守りますが、▲3七桂でどうか。以下、△7二
銀なら▲4五桂があります。第6図は難解だと思います。

第5図以下の指し手(2)
△同飛 ▲同角成り △6二銀 ▲3五馬(第7図)

▲同角成り △6二銀に、▲3五馬が最善だと思いますが、これも優劣不明でしょう。

CapD20130916_4.png

第3図から②▲3五飛

第3図以下の指し手
▲3五飛 △2六馬 ▲3八銀(第8図)

▲3八銀では▲3八金もあり、どちらが良いのかは難しいところです。

第8図以下の指し手
△3五馬 ▲同歩 △5五歩 ▲3四歩 △4五桂 ▲1五角(第9図)

第8図から後手が攻める手を考えてみます。△5五歩は▲同飛と取られるので、先に
馬と飛車を交換します。▲3四歩に△4五桂が気持ち悪いですが、▲1五角と打って
先手が少しよさそうです。

CapD20130916_5.png

第3図から③▲5九角(第10図)

第10図以下の指し手
△5五歩 ▲3八金 △同馬 ▲同銀 △5六歩 ▲同歩 △4五桂 ▲8六角(第11図)

▲5九角に馬を助けるのなら△3七歩ですが、▲同桂でつまりません。恐いのは、馬を
犠牲にして中央を攻めてくる手です。▲3八金には、△5六歩 ▲2七金 △5七歩成り 
▲4九玉の進行も考えられますが、先手が余していそうです。

△4五桂には、▲8六角と王手で覗くのが好手です。以下、△4一玉に▲5三角打ち 
△4二銀の進行が想定されます。形勢は、ほぼ互角だと思います。

CapD20130916_6.png


参考文献 『菅井ノート 先手編』 菅井竜也著 マイナビ

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2013.09.16 / Top↑
3六歩型の代表的な一局が、羽生-丸山戦(2003.12)です。なんと羽生三冠が先手
を持ってこの形を指しています。22手目までは、前回と同じような手順ですが、16手
目に△7三歩ではなく、△9二飛と逃げているのが違っています。

前回第1図以下の指し手
▲3六歩 △2六馬 ▲3八金 △5四歩(第1図)

△2六馬には、▲3八金と指しました。ここでも前回解説した▲3五飛と引く手があり、
その方が穏やかな進行になったと思います。

◇後手、中飛車に

第1図以下の指し手
▲同飛 △3六馬 ▲7四飛 △7三歩 ▲7五飛 △5二飛(第2図)

△5四歩に角を引いたのでは、△5三馬で先手不満です。前回と違って△7三歩を打っ
ていないので、▲5四同飛と取る手が成立します。後手は、馬を自陣に引くのではなく、
中飛車にして中央を狙いにきました。

CapD20130804.png

第2図以下の指し手
▲3四歩 △4五桂 ▲4八銀 △3五馬 ▲1一角成(第3図)

▲3四歩は△4五桂と跳ねられて気持ちが悪いです。しかし、先に▲4八銀では、△5
四飛や△3四歩と守られて面白くないと見たのでしょう。

後手は、飛車・桂・馬を5筋に集中させています。うまく受けないと潰されてしまいそう
です。

△3五馬には、▲4六歩と守る手もありそうですが、▲1一角成は、飛車の利きを通し
てしまうので強い手です。

第3図以下の指し手
△5六歩 ▲同歩 △同飛 ▲4九玉 △5七桂不成 ▲3九玉(第4図)

素人目には、第3図から△5七桂成り ▲4九玉 △3四馬で先手自信がないように思
えます。△5六歩は難しい手です。第4図の形勢は難解だと思います。

CapD20130804_1.png



◇△6二銀への対処

この対局の後で出された『石田流道場』には、33手目▲1一角成の局面は後手不利と
書かれています。そして、24手目△3六馬の代わりに△6二銀(第5図)を本筋としてい
ます。

第5図以下の指し手
▲3五歩 △5三銀 ▲同飛成 △同玉 ▲3四歩(第6図)

先手は▲3五歩と桂頭を狙います。△5三銀には飛車を切って▲3四歩と攻める手が
解説されていますが、以下、△4五桂 ▲3三歩成りに△5六歩で、先手が苦しいよう
です。

CapD20130804_2.png

△6二銀と上がられたら、飛車切りの勝負にいかないで、▲7四飛(第7図)と指した方
が無難です。以下△3六馬は、▲3四歩で後手悪いので、△5三馬または△5三銀で
いい勝負でしょう。

▲3五歩 △5三銀の後で▲7四飛は、△6四銀(第8図)で先手大変だと思います。

CapD20130804_3.png


参考文献
『石田流道場』 所司和晴著 毎日コミュニケーションズ


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2013.08.04 / Top↑
第1図では△4五馬を防がなければなりません。▲3六歩と▲3六飛が有力ですが、今
回は、▲3六歩(第2図)を検討します。

CapD20130725.png

『島ノート 振り飛車編』には、7三歩型で第2図から、△2六馬(第3図)と指す手が解
説されています。この手では、先に△5四歩も有力で、改めて取り上げる予定です。

第3図以下の指し手
▲3八銀 △5四歩 ▲7七角 △5三馬(第4図)

△5四歩で△2五馬と飛車を攻めるのは、▲3五飛とぶつけられ、△2四馬 ▲2五歩
で後手が悪いです。先手は、飛車と馬の交換は大歓迎です。

また、△5四歩を▲同飛と取るのは、△3六馬で困ります。(後手が7三歩を打ってい
ない形なら成立します。)▲7七角には、△5三馬が大きな手です。

CapD20130725_1.png

第4図以下の指し手
▲3七桂 △2二銀 ▲3五飛 △4四歩(第5図)

▲3七桂は△6二銀や△5二金なら、▲3三飛成り △同金 ▲4五桂の狙いを秘めた
手です。しかし、△2二銀と守られては手がありません。『島ノート』では、先手失敗と
して、▲3六飛型の解説に入っています。

なお、後手が3二銀型の場合には、△5三馬に▲2四歩(参考図)があります。△同歩
には▲2三歩の垂らし、△4四歩なら▲同飛で先手ペースでしょう。

Cap20130725.png


◇△5三馬を阻止する指し方

上の手順は△2六馬に▲3八銀が甘いと思います。ここでは▲3五飛(第6図)と引く
手が面白いです。後手の馬を活用させないことが大切で、飛車を使って5三馬を阻止
する手です。△3五馬と交換してくれば、▲同歩で玉頭攻めにはずみがつきます。

CapD20130725_3.png

第6図以下の指し手
△2二銀 ▲3八銀 △2四歩 ▲2七歩(第7図)

第6図で△5四歩は、▲3七角と引く手があります。後手は、3筋を補強する為に△2
二銀と上がります。先手は▲3八銀~▲2七歩と馬飛交換を迫るのが良いでしょう。

第7図から△2五馬には、▲同飛 △同歩で、桂頭や▲7四歩を狙っていけば、先手
指せると思います。


参考文献 『島ノート 振り飛車編』 島 朗著 講談社


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2013.07.25 / Top↑
CapD20130714.png

初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △4二玉 ▲7八飛 △8八角成
▲同銀 △4五角(第1図)


1.▲5八玉か▲6八金か?

第1図で先手の指し手は、▲5八玉▲6八金かの二択です。手持ちのデータを見る
と、プロでは全て▲5八玉となっています。24高段者は▲6八金が多いのですが、勝率
は▲5八玉の方が高くなっています。なお、▲5八金左は7八の地点が空いてしまうの
で、この場合はよくありません。

▲5八玉か▲6八金かは、それぞれ長所・短所があるので、どちらが良いのか判断は
難しいです。▲5八玉は、5筋を攻められた時に当たりが強くなります。▲6八金は、▲
3四飛と回った時に、△2六馬が王手になるので、▲3六歩と指しづらいのが欠点です。

『島ノート』には、「▲6八金の方が優る変化が多い」と書かれていますが、ここでは、プ
ロの採用率が高い▲5八玉を中心にして考えたいと思います。

第1図からの指し手
▲5八玉 △2七角成 ▲7四歩 △同歩 ▲5五角 △3三桂 ▲7四飛(第2図)

CapD20130714_1.png

△2七角成りは当然の一手。先手は、▲7四歩を突き捨ててから▲5五角が正しい手
順です。先に▲5五角だと、△4四歩とされる手があります。(以下、▲7四歩 △5四
馬 ▲7三歩成り △5五馬 ▲8二と △同馬で難解。)


▲7四歩に△6二銀も有力か

▲7四歩 △6二銀(変化図A)

定跡書には載っていない変化ですが、▲7四歩には△6二銀も有力だと考えます。

変化図A以下の指し手
▲5五角 △3三桂 ▲7三歩成 △同銀 ▲同角成 △同桂 
▲同飛成 △7二飛(変化図B)

△6二銀には▲5五角と打ちます。△3三桂で△4四歩の場合も同様に進みます。

攻めを続けるしかないので、▲7三歩成 △同銀に角を切っていきます。二枚替えで飛
車は成れますが、△7二飛とぶつけられます。以下、▲8三龍には△9四角があり、▲
7四歩に△5五角で難解だと思います。

CapD20130714_2.png


2.△7三歩か△9二飛か?

第2図で△5四歩は、▲8二角成り~▲7二飛打(第3図)で先手の勝ちです。後手はこ
の手を受けなければなりません。

CapD20130714_3.png

プロ棋譜データでは、△7三歩が2例、△9二飛が4例ですが、羽生-丸山戦(2003.
12)以降は全て△9二飛となっています。24高段者では、△7三歩がやや多いです。
しかし、勝率を見ると、△7三歩は後手があまり勝っていません。

CapD20130714_4.png

他に△6四歩もありますが、▲同飛 △7二馬 ▲7三歩 △6二馬 ▲3四飛(第4図)
で先手ペースでしょう。(後手石田流で△8四歩が入っている時には、▲7三歩に△9
四馬と逃げる手があるので注意。)▲3四飛では、▲6二飛成り~▲3六歩も有力です。

CapD20130714_5.png

△9二飛型(第5図)の長所は、持ち歩が二枚になることや、将来、△7二飛から飛車
を活用する手があることなどでしょう。

△7三歩型(第6図)の長所は、先手の飛車が3四に動いた時に、▲7四飛と戻る手が
ないことや、先手の角が5五にいる時でも△5二飛と回れる(▲9一角成りがない。)
ことなどです。

CapD20130714_6.png


十字飛車で桂頭を狙う

△7三歩、△9二飛に対して飛車を下に引いたのではつまりません。ここは▲3四飛
と回る一手です。馬を作らせた代償に桂頭を狙いにいくのが先手の作戦なのです。


3.▲3六歩か▲3六飛か?

▲3四飛には、△3二金(第7図)・△2二銀・△3二銀が考えられます。△2二銀や△
3二銀は、▲2四歩と指された時に玉頭が弱いのが欠点です。多く指されているのは
△3二金です。

第7図で、先手の指し手は▲3六歩▲3六飛に分かれますが、難しくなるので次回
以降に検討します。

CapD20130714_7.png


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2013.07.14 / Top↑
大平-南戦(2013.3.22)では、第1図から第2図となり、先手の大平五段が勝利しまし
た。この局面が指されたのは、手持ちのデータベースによると、公式戦では6年ぶり
のことです。

定跡書では、この△4五角問題があるので、第1図からは▲6六歩が推奨されていま
す。

第1図以下の指し手
△8八角成り ▲同銀 △4五角(第2図)

CapD20130630.png

しかし、第2図は先手が悪いかといえば、そうでもないのです。

『島ノート』には、「(第2図から)▲5八玉は、後手に最善を尽くされると先手が自信
持てない。▲6八金型はほぼ互角。」と書かれています。最近の定跡書を見ると、次
のような見解になっています。

『久保の石田流』 先手不利か?いや、そんな単純なものではない。先手勝率48%。

『菅井ノート 先手編』 (△5二飛となった時に)玉頭を狙われる先手が少し面白く
ない。

『石田流の基本 本組みと7七角型』 (戸辺六段著)はっきりとした結論はプロ間で
も出ていない。

先手がやや不満としながらも、ほぼ互角と考えているようです。実際の勝率はどう
なのでしょうか?プロの公式戦データを調べると、先手勝率が8割を超えていまし
た。(▲6八金の1例は、アマの対局)

CapD20130630_1.png

サンプル数が少ないので、24高段者についても調べてみました。こちらも先手勝率
が7割を超えていました。先手でこの形を指す人は、かなり研究しているからだと推
測もできますが、興味深いデータです。

CapD20130630_2.png

この形について詳しく書かれているのは、『島ノート』(2002.11発行)と『石田流道場』
(所司七段著・2004年12月発行)です。しかし、『島ノート』には△9二飛と逃げる変
化がなく、『石田流道場』には△5二飛と指す手が、ほとんど解説されていません。

また、他の定跡書では、あまり詳しく書かれていません。第2図以下は、今後、考察
していきたいと思います。


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2013.06.30 / Top↑

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