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前回紹介した都成-渡辺愛戦で、気になる手があるので検討してみたいと思います。
(棋譜は前回のブログを参照してください。)

第1図は、△4四銀と出た局面です。『相振りレボリューション』では、参考図のよう
に先に高美濃にしてから4四銀型にしています。これは、△6三金と上がることによ
り、▲5四歩からの歩交換を防ぐ為です。

将棋倶楽部24高段者の将棋を見ても、早く銀を出るのを多く見かけるようになりまし
た。まず第1図で、▲5四歩と突かれた時の対応を考えてみます。

CapD20131109.png

①第1図から▲5四歩の変化

第1図以下の指し手
▲5四歩 △同歩 ▲同飛(変化1図)

変化1図で、△5三歩と打つのは先手にだけ歩を持ち駒にされて面白くありません。
△5五歩から飛車を生け捕りにしようとするのは、▲同角で困ります。なので、△3六
歩・△1三角・△3三桂などが候補手です。どの手も有力だと思いますが、激しくなり
そうなのは、△3六歩です。

変化1図以下の指し手
△3六歩 ▲5六飛 △5五歩 ▲3六飛 △3五銀(変化2図)

△3六歩に▲5九飛と引くのは、△1三角で後手ペースでしょう。▲5六飛には、△5
五歩と押さえて、▲3六飛に△3五銀で先手困ったかに見えますが、以下▲5六飛
の鬼手があります。しかし、△5四飛と回り、▲5九飛(▲5八飛)で互角の形勢だと
思います。

CapD20131109_1.png


②34手目△3五飛の変化

第1図から実戦では▲4六歩と指しました。歩越し銀には歩で対抗の格言通りに、△4
五銀の捌きを防いでおり、後手にとってはやっかいな手です。

△3六歩から飛車先の歩を交換するのは当然の手で、33手目▲4七銀に△3四飛と引
きましたが、この手では△3五飛(変化3図)が面白いと思います。

以下、▲3六歩は△2五飛で後手を引くので、▲5八飛でしょうか。続いて△5五銀 
▲3六歩 △2五飛 ▲3八金に△5四歩(変化4図)が進行の一例です。歩切れの
先手が少しつらいでしょう。

また、変化3図では、▲4五歩も有力で、△同飛 ▲3八金 △2五飛で互角だと思い
ます。

CapD20131109_2.png


③36手目△4五同銀の変化

実戦では、35手目▲4五歩に△3三銀と引きました。ここで△同銀(変化5図)と取る
手も目に映ります。

しかし、▲2六飛と逃げられて、後手の指す手が難しいです。△2四飛で飛車交換を迫
るのは、飛車を打ち込まれやすそうな後手が自信なく、△3三飛は▲5四歩があります。
△2四歩は、▲4六歩(変化6図)で銀が死んでしまいます。なので、▲4五歩には△
3三銀と引くしかないようです。

CapD20131109_3.png


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2013.11.09 / Top↑
初手▲5六歩から、△3四歩に▲5八飛の先手中飛車には、△3二飛と三間飛車で対
抗して、後手がやや指しやすいというのが定説です。データからもそのことは裏付けら
れ、2000年以降、第1図の先手勝率は、0.394となっています。(手持ちのデータベース
による)

CapD20131027.png

しかし、少し事情が変わってきたかもしれません。第1図から先手は左穴熊に組むこ
とが多くなりました。

2000年~2011年まで、第1図は約90局出現し、島本-大平戦と佐藤和-糸谷戦(2
局とも穴熊には組んでいない)を除いては、全て玉を右に囲っていました。ところが、
2012年は6局中3局、2013年は、これまで2局しかありませんが、2局とも先手は左穴
熊にしています。

このきっかけとなったのは、2012年に将棋世界の企画で行われた双龍戦の今泉アマ
-戸辺六段戦でしょう。この対局では、今泉アマが中飛車左穴熊(後手番)で戸辺六
段に快勝しました。アマの大会などではよく見られるこの戦法ですが、これを機会に
プロでも注目されたのだと思います。


この指し方は、2010年に発行された杉本七段の『相振りレボリューション』に、東大流
中飛車左穴熊
として解説されています。そこでは、後手は4四銀型に組むのが良い
と書かれています。

奨励会三段リーグの都成-渡辺愛戦(2012.4)では、そのように進行しました。しかし、
第2図から▲4六歩が上手い手で、△3六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲4七銀と進み、
10手後には銀を4二まで後退させられてしまいました。(第3図)先手の作戦勝ちと言
えるでしょう。

CapD20131027_1.png




プロの対局では後手が4四銀型に組んだ例はありません。では、どのように対抗した
のでしょうか?この戦形のキープレイヤーともいえる大石六段の将棋を見てみます。
大石六段は、この形で3戦全勝なのです。


最初は、2012年8月の朝日杯オープン戦で、大石六段が、今泉アマの先手中飛車を
受けました。大石六段は△3五歩を保留し、△2四歩~△2五歩(第4図)と伸ばしま
した。そこから4四角型の向い飛車にして、△2六歩(第5図)から動きました。先手の
金・銀が右翼に縛りつけられて、居飛穴が堅くありません。

40手過ぎには飛車交換に成功し、後手が優勢となります。以下、今泉アマが粘ります
が、162手で大石六段が勝ちました。

CapD20131027_2.png




それから約3ヵ月後、今度は大石六段が、先手番で中飛車左穴熊を採用したのです。
今泉戦で何かを感じたのでしょうか。対する稲葉六段は、穴熊で対抗しました。この
将棋は、37手目▲5四歩(第7図)から開戦しました。結果は大石六段の穴熊が手
付かずの完勝でした。

CapD20131027_3.png




そして、今年9月の順位戦では、伊藤四段の中飛車左穴熊を大石六段が受けていま
す。この時には、対稲葉戦と同じように相穴熊で対抗しています。しかし、6三金型では
なく、左の銀をもくっつけて4枚穴熊にしています。第9図から難しい将棋になりました
が、またしても大石六段が勝利しました。

この戦形は、まだ実戦例が少ないですが、今まで先手が3勝、後手が2勝と拮抗してい
ます。相穴熊にするのが良いのか、もっと有効な対策はあるのか、注目していきたい
と思います。

CapD20131027_4.png




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2013.10.27 / Top↑
杉本七段の『相振りレボリューション』には、後手が三間飛車(4四歩と角道を止めな
い形)で、先手の中飛車左穴熊に対する指し方が解説されています。そこでは、4四
銀型
に組むことが1番の急所だと書かれています。参考A図が成功例で、△3六歩
に▲同歩は△4五銀があります。

CapD20130317.png

先手三間飛車対中飛車左穴熊では、4手目に▲6六歩と指しているので同じ形にはで
きません。それでも▲6五歩と突いて6六銀型にすることができます。

この場合には参考A図のような攻めはできないので、高美濃から▲4六金と盛り上げ
て中央を狙う
指し方が面白いです。


実戦例1

第1図以下の指し手
△8三銀 ▲4五歩 △2四歩 ▲4六金(第2図)

第1図は、先手が▲8六飛と寄り、△7二銀と受けさせた形から進んだ局面です。▲7七
桂とは跳ねずに角の利きを中央に通しておくことがポイントです。

高美濃に組んでから▲6六銀と指すのが手順です。▲4七金と上がる前に▲6六銀では、
△5六歩から狙っている歩を交換されてしまいます。

次に▲4五歩~▲4六金と盛り上がっていきます。中央の勢力は3対2となり、先手が上
回りました。こうなると△5四飛と浮いた形が逆に負担になっています。

CapD20130317_1.png

第2図以下の指し手
△5一飛 ▲5五銀 △7四歩 ▲同歩 △7一飛(第3図)

第2図は既に先手が作戦勝ちでしょう。

5筋は受からないので、後手は△5一飛と引き、△7一飛から7筋を攻めてきました。

第3図以下の指し手
▲6四歩 △7四飛 ▲6三歩成 △3五歩 ▲4四歩 △3六歩 
▲同金 △4四歩 ▲5三と △7三桂 ▲4三歩(第4図)

第3図は先手が大優勢で、普通に▲4四歩と攻めても良さそうです。先手はと金を作り、
▲4三歩と垂らして勝負あった感じです。

CapD20130317_5.png


実戦例2

第5図は、私の実戦からです。後手が先に△8四飛と寄り、▲8六歩と受けた形の例で
す。この場合は、後手が右銀を△5三銀~△4四銀と進めていくのが普通です。

それに対して△4四銀と指される前に▲4六金と上がって、中央を取りにいくのが作戦
でした。最短手数で仕掛けたかったので▲3九玉で済ましていますが、ここはもう一手
▲2八玉と指しておくべきだったと思います。

第5図以下の指し手
△6二銀 ▲4五歩 △5三銀 ▲4六金 △2四角(第6図)

実戦例1と同じように、▲4六金と盛り上がっていきました。今度は△2四歩と突いて
ないので、△2四角と金取りに出てきました。

CapD20130317_3.png

第6図以下の指し手
▲5五銀 △同飛 ▲同角 △5四銀 ▲2二角成 △同金(第7図)

▲4七銀と守るのは玉が薄くなって面白くありません。ここは▲5五銀と出るのがぴ
ったりの手です。後手は△同飛と勝負するしかなさそうです。こちらも、△5四銀には
角を切っていきました。

第7図以下の指し手
▲7七桂 △6七角 ▲5六飛 △同角成 ▲同金 △7九飛 
▲2八玉 △9九飛成 ▲6六角(第8図)

第7図は、穴熊を金一枚にして、こちらが少し良いかと思いましたが、指す手が難し
いです。飛車を打ち込めそうな場所がないので、△6五銀を防いで▲7七桂と指しま
した。△6七角に▲6六飛では、△4九角成り~△5五銀が厳しいです。

実戦は、第8図以下、△5五香 ▲3一飛と進んで勝つことができましたが、△9九飛
成のところで△3三角と指されたら難しかったようです。


以上、先手がうまくいった例を2つ紹介しました。守りの金を盛り上げていくこの指し方
は玉が薄くなるので、カウンターを食らうと一気に負けになってしまう可能性もあります。
力がないと指しこなすのは難しいかもしれませんが、中飛車左穴熊に対する有力な作
戦だと思います。

CapD20130317_4.png



参考文献 『相振りレボリューション』 杉本昌隆著 マイナビ

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2013.03.17 / Top↑
後手4二角型 後手の成功例

第1図は、お互いに囲い合い、後手が4二角型から△7四歩と仕掛けたところです。
後手は8筋を交換して一歩を手持ちにしています。石田流本組みにした場合、この筋
には注意しなければなりません。

第1図以下の指し手
▲同歩 △9七角成り ▲同香 △8七角(第2図)

実戦は▲同歩と取りました。角交換から△8七角と打ち込まれては、先手が苦しいで
しょう。第1図では▲6六銀の方がよさそうです。しかし、△7五歩 ▲同銀に△7四歩
が好手で、やはり先手が困ります。

CapD20130310.png


後手4二角型 先手の積極策

第3図は、後手の陣形に隙があるように見えます。この瞬間に、先手から▲7四歩と仕
掛けました。第1図のように穴熊にがっちり組まれる前に、先手から動いていく手は成
立するでしょうか。

第3図以下の指し手
△9七角成 ▲同香 △7四歩 ▲6四歩 △同飛 ▲8三角(第4図)

▲7四歩と仕掛ければ角交換は必至となります。△7四歩で△7四飛と取るのは、▲同
飛 △同歩に▲6四歩で先手が指せるでしょう。先手が角を打つ場所は、8二と8三が
ありますが、▲6四歩を入れてから▲8三角と打ちました。

CapD20130310_1.png


第4図以下の指し手
△5一金右 ▲7四角成 △9八角 ▲6四馬 △同歩 ▲7二飛成(第5図)

▲7四角成に△9八角は当然の反発で、飛車角総交換となりました。飛車が成りこん
で、先手が調子よさそうですが・・・

第5図以下の指し手
△5四角成 ▲6三歩 △同馬 ▲同龍 △同銀 ▲4五角 △5四角
▲同角 △同銀 ▲7一飛(第6図)

▲7二飛成には△5四角成がぴったりの受けです。このまま馬に居座られたら先手大
変なので、▲6三歩と打って龍と馬を交換しました。銀の位置を悪くしてから、▲7一
飛と打つのも好手順です。

第6図は僅差だと思いますが、穴熊が未完成で、桂・香を拾える先手が少しよさそう
です。

CapD20130310_2.png




△8四飛と寄らせない指し方

この戦形では、どちらが先に飛車を寄るのかがポイントになることがよくあります。
将棋倶楽部24強豪の方が、後手に△8四飛と寄らせない指し方をしていたので紹介し
ます。

第7図のように7八銀型の構えにすれば、後手からの△8四飛はなくなります。△5六
歩には、▲同歩 △同飛 ▲5八金左で問題なく、後手は穴熊に囲うのには気を使う
展開となります。

第7図からタイミングを見て▲8六飛(第8図)と寄り、△8四歩や△7二金と指させて
から▲6七銀と上がれば先手ペースだと思います。

CapD20130310_3.png


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2013.03.10 / Top↑
戸辺-今泉戦では、21手目に先手が▲8六飛と寄りましたが、後手が先に△8四飛
(変化A図)と動いてくる手も考えられます。この手の狙いは、先手から▲8六飛の
筋をなくして、右の金・銀を攻めや囲いに使うことにあります。

類似の局面で、後手から△8四飛と寄った時のデータ(24高段者)を調べてみると、
下図のような結果でした。△8四飛は気持ちのよさそうな手です。しかし、いずれ△
5四飛と戻すので2手損になります。先手が6割近く勝っており、実戦的には手損の
影響が大きいのかもしれません。

CapD20130223.png

次の手は、ほとんど▲8六歩となっています。▲8六角は、▲9七角と上がっている時
の受け方です。

変化A図で▲8六飛とぶつけるのは、△同飛 ▲同歩 △3二銀が考えられ、ここで▲
5三飛と打ちたいところですが、△8七飛 ▲7七銀 △8八飛成り ▲同銀 △4五
角(変化B図)で先手失敗です。

CapD20130223_1.png

▲8六歩と突かされた形から先手がどのように指していったらよいのかを考えてみま
す。

先手は、(1) 石田流本組みの形(9七角型)にして、左辺の捌きを狙う指し方と、(2)
八角の利きを通したまま(8八角型・7七角型)、中央で戦う
指し方が有力だと思いま
す。今回は、石田流本組みで戦う形について検討します。


実戦例 1

第1図以下の指し手
▲7四歩 △同歩 ▲8四歩 △同歩 ▲6四歩(第2図)

第1図は、後手が両方とも端歩を受けているので、まだ穴熊が完成していません。こ
こは仕掛けてみたいところです。

第1図から、▲7四歩 ▲8四歩 ▲6四歩と突き捨てていきます。

△5三銀と上がった時が仕掛けるチャンスです。▲5三角成りがあるので、▲7四歩を
△同飛とは取れません。

CapD20130223_2.png

第2図以下の指し手
△同銀 ▲7四飛 △5六歩 ▲同歩 △同飛 ▲7二飛成 △7六歩(第3図)

▲8四歩を突き捨てた効果で、▲7四飛に△7三歩は▲8四飛と寄れます。

後手も飛車先を交換して、▲7二飛成に△7六歩と反撃してきました。△5六歩は▲同
歩と取らない手もあったと思います。

第3図以下の指し手
▲5七銀 △同飛成 ▲同金 △7七歩成 ▲6三龍(第4図)

▲5七銀に△同飛成は、後手の勝負手ですが、第4図は先手優勢でしょう。

CapD20130223_3.png


実戦例 2

第5図は前例と違って先手は6七銀型です。また、後手は端歩を受けてなく、穴熊が完
成しています。ここで仕掛ける手は成立するでしょうか。

第5図以下の指し手
▲7四歩 △同歩 ▲8四歩 △同歩 ▲6四歩 △同銀 ▲7四飛 △7六歩(第6図)

同じように仕掛けていきました。しかし、▲7四飛に△7六歩が6七銀型の弱点をつい
た返し技です。

CapD20130223_4.png

第6図以下の指し手
▲同飛 △7五歩 ▲8六飛 △5六歩(第7図)

▲同銀は△5六歩でまずいので、▲同飛と取りますが、△7五歩 ▲8六飛に△5六歩
で先手困りました。以下、▲同銀 △7七角成 ▲8四飛の進行は先手悪いでしょう。


仮に第5図で、先手が6八銀型(参考A図)なら仕掛けが成立するか考えてみます。

参考A図以下の指し手
▲7四歩 △同歩 ▲8四歩 △同歩 ▲6四歩 △同銀 ▲7四飛 △5六歩 
▲7二飛成(参考B図)

CapD20130223_5.png

参考B図以下、△7六歩には▲6三龍があり、この進行なら先手も戦えるかもしれま
せん。

しかし、戻って△5六歩のところでは、やはり△7六歩(参考C図)があります。

以下▲同飛 △7五歩 ▲8六飛が想定されますが、先手自信ないでしょう。第5図の
ように穴熊にしっかり組まれてしまうと、仕掛けていくのは大変なようです。

CapD20130223_6.png

 ※実戦例2 棋譜



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2013.02.23 / Top↑

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