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私の実戦から、早石田9手目▲4八玉の将棋です。

初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲7八飛 △3四歩 ▲7五歩 △8五歩 ▲7四歩
△同歩 ▲4八玉 △8八角成 ▲同銀 △4五角 ▲7四飛(第1図)

角交換から△4五角に、第1図の▲7四飛が試してみたかった手です。従来指されてい
たのは先に▲5五角でしたが、前回解説したように先手が苦しい展開になります。

『菅井ノート 先手編』によると、▲7四飛が正着なのだそうです。

第1図以下の指し手
△6七角成 ▲5五角 △7三歩 ▲6二歩(第2図)

△6七角成で△7三歩は▲7五飛 △6七角成 ▲6五飛で振り飛車十分となります。
△7三歩に▲6二歩が知らないと指せない手でしょう。

CapD20130412.png

第2図以下の指し手
△7四歩 ▲6一歩成 △同玉 ▲1一角成 △8九馬 ▲7八金打(第3図)

▲6二歩に△同銀や△同金は、▲7九飛と引いておけば▲1一角成りが受かりませ
ん。△同飛は▲8四飛で後手が困ります。△7四歩と飛車を取るのが正しく、以下△8
九馬までは一本道です。駒の損得は、飛車と金・香の交換ですが、桂を取り返され
て先手が2歩損しています。

ここまでの攻防については、『菅井ノート 先手編』に詳しく解説されており、次に
▲7八金打 △3二銀 ▲5五馬で互角の勝負と書かれています。

第3図以下の指し手
△4二銀 ▲7九金寄 △7八馬 ▲同金 △8六歩 ▲4六角(第4図)

後手は△4二銀と指してきました。次の手が難しく、▲2一馬では馬の働きが悪そう
です。

▲5五馬は△7五飛が気になります。私は▲7九金寄と馬を取りに行き、△8六歩に
▲4六角と打ちました。

CapD20130412_1.png

第4図以下の指し手
△6四歩 ▲同角 △6二飛 ▲6八香 △6九飛 ▲6三歩
 △同飛 ▲9一角成(第5図)

後手は、△6四歩~6二飛と手筋で受けました。▲6八香に△6九飛と打ち込まれて
忙しくなりました。▲6三歩は余分だったかもしれません。

第5図以下の指し手
△6八飛行成 ▲同金 △同飛成 ▲5八飛 △6九龍 ▲5九金 △8九龍
▲8一馬 △7二銀 ▲6九香 △6三歩(第6図)

▲9一角成には飛車を切ってきました。先手を取りたいので、△同飛成には▲5八飛
と受けました。後手の形が悪く、▲6九香と打った局面はこちらが良いと思いました。

実戦では第6図から▲同香成りと指して、難しくしてしまいました。ここは▲7二馬
 △同玉に、▲5五馬と指すべきでした。

CapD20130412_2.png



参考文献 『菅井ノート 先手編』 菅井竜也著 マイナビ


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2013.04.12 / Top↑
前回は、第1図と第2図の局面での▲7四歩を取り上げました。『菅井ノート 先手編』
では、もう少し進んだ局面(A図・B図)で仕掛ける手が解説されていました。参考にな
ることが多くありましたので、ポイントを整理しておきたいと思います。

CapD20130203.png

①△3二銀の場合も△3三銀と上がれば同じ形になるが、3二銀型で通した場合
が問題。


菅井先生は△2二銀が、「最も形勢のバランスを保つことのできる一手」と書いていま
す。A図では△7二金が普通ですが、▲5五角 △3三角 ▲4六角のスイッチバック自
陣角の攻めがあります。

②B図で△7二金と上がって受けるのは危険。

B図から△7二金には、▲7三歩成り △同銀に▲6五桂と跳ねて攻めます。この攻め
が厳しく、先手有利になるようです。B図での最善手は△同歩で、▲同飛と取った形は
それ以上攻める手がありません。

③A図・B図ともに、居飛車が正確に受ければ攻め切るのは難しい。仕掛けてか
ら囲う展開になる。


飛車・角・桂だけの攻めなので、きちんと受けられれば攻め切ることは難しく、タイミン
グを見て玉を囲うのが妥当なところです。▲7四歩を突かないで囲うのは、後手に十分
な形にされ、また△5四角や△8四飛~△6四歩とする手も気になります。


動く棋譜を加筆しましたので、詳しい変化を知りたい方は参考にしてください。

CapD20130203_1.png


※Cボタンを押せば、コメント欄に棋譜全体が出るのでコピーできます。

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2013.02.03 / Top↑
早石田の菅井新手については、1年振りの更新となります。菅井新手の現状を簡単に
整理してみたいと思います。

初手から、
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △8四歩 ▲7八飛 △8五歩 
▲7六飛 △8八角成 ▲同銀(第1図)

CapD20120727.png

△8五歩に▲7六飛と浮くのが、早石田の菅井新手と呼ばれる手です。後手は、ここ
で角交換するのが普通で、▲同銀と取ったのが第1図です。

次の手は主に△3二銀が指されていると書きましたが、データを見ても、やはり△3二銀
が1番多いです。△2二銀と守るのは、急戦の変化になった時に形が悪いのが気にな
ります。

第1図 次の手データ プロ棋士
CapD20120727_1.png

第1図 次の手データ 24強豪
CapD20120727_2.png


第2図以降の検討

◇第2図から▲7四歩(第3図)

第2図から▲7四歩には、△6二銀と受けるのが定跡です。

以下、
▲7三歩成り △同銀 ▲同飛成り △同桂 ▲7四歩 △6五桂 ▲7三角(第4図)

の強襲は、村田-大石戦(2011.3)と高崎-稲葉戦(2011.5)で指されましたが、難
しいようです。

詳しくは、早石田菅井新手6・8及び、下の菅井新手のまとめを参照してください。

CapD20120727_3.png

◇第2図から▲7七桂 △6二銀に、▲7四歩(第5図)

▲7七桂と桂馬を攻めに参加させるのはどうでしょうか。

第5図から、
△7二金 ▲7三歩成り △同銀 ▲6五桂 △6四銀(第6図)

▲7四歩には△7二金が受けの形です。第6図で、いきなり▲7一角や、▲5三桂成
り △同銀 ▲7一角と攻める手はありますが、後手にきちんと守られると、攻め切るの
は大変なようです。

第5図の▲7四歩では、▲5五角もありますが、やはり3枚の攻めなので、簡単にはい
かないと思います。

詳しくは、早石田菅井新手7及び、下の菅井新手のまとめを参照してください。

CapD20120727_4.png

◇第2図からは、升田式石田流にするのが最近の傾向

以上のように、急戦で攻めるのは難しいので、最近は玉を囲って、升田式石田流にす
ることが多いようです。

▲7七桂を決めてから升田式石田流にする場合には、左の銀をどのように活用するか
ポイントになります。

鈴木-郷田戦(2012.2)では、▲7九銀~▲6八銀~▲6七銀(第7図)と活用してい
ます。

第7図から、
△4三角 ▲6五歩 △同歩 ▲5六銀 △8四飛 ▲4六歩 △6四銀 
▲4五歩(第8図)

△4三角あるいは△5四角と打たれる手は、升田式石田流では常に注意しなければな
らない筋です。これを▲6五歩で防ぎ、銀を中央に動かしていきました。

CapD20120727_5.png

◇鈴木八段の新構想

鈴木-谷川戦(2012.4)では、鈴木八段が▲9六歩~▲9七銀(第9図)と8筋から逆
襲する手を指しています。第9図から、▲8六歩 △同歩 ▲同銀 △8二飛に、▲8四
歩または▲8五歩と進めば、先手ペースとなります。

第9図から、
△8二飛 ▲7四歩 △5四角 ▲6六飛 △7四歩 ▲6四飛 △6三銀 ▲6六飛
△6四歩 ▲5六歩 △4四歩 ▲8六歩(第10図)

実戦では、△8二飛と引かれて、以下、第10図のようになりましたが、▲9六歩~▲9七
銀は、試してみたい指し方だと思いました。

CapD20120727_6.png




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2012.07.27 / Top↑
初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △8四歩 ▲7八飛 △8五歩 
▲7四歩 △同 歩(第1図)

第1図から▲4八玉(第2図)は、公式戦では2010年9月の久保-渡辺戦で初めて
指された手です。(その1ヶ月前に、三段リーグの都成-佐々木戦で指されています。)

ここで▲5八玉や▲3八銀は、それ以前に指されていました。しかし、▲5八玉は玉
を囲い難く、▲3八銀の場合は△2八角の打ち込みがあります。▲4八玉は、その2
点をカバーしていますが、角交換から△4五角と打たれる手があります。

CapD20120602.png

第1図と第2図の局面は、プロの実戦例は少ないので、将棋倶楽部24高段者のデー
タを調べてみました。その結果、▲4八玉の局面は、先手勝率が0.185と極端に悪い
ことに驚きました。サンプル数は少ないですが、これは見過ごせないデータであると思い
ます。(ほとんど指されなくなった▲3八銀の先手勝率が高いのも面白いです。)

第1図での24高段者 次の手&勝率データ
CapD20120602_1.png

第2図からは、△7二飛と△8八角成りが指されており(プロの公式戦では△7二飛
のみ)、△8八角成りとされた場合には、先手は0.111しか勝っていませんでした。

もともと9手目▲4八玉は、△8八角成りから△4五角と打たれても戦える(▲5八
玉と▲3八銀は、この点をクリアーしている。)から指されたはずです。しかし、データ
を見るとそうとは言えないようです。

第2図での24高段者 次の手&勝率データ
CapD20120602_2.png

では、なぜ△8八角成りとされたらあまり勝てないのかを、考えてみたいと思います。

第2図から
△8八角成り ▲同銀 △4五角(第3図)

△8八角成りとした局は9局あり、そのうち8局がこう進んでいました。(△4五角では
なく、△2二角と打ったのが1局。)第3図からは、▲5五角 △2二銀(第4図)が
6局、▲6八金が2局でした。▲7六角と打つのは△4二玉と守られて、先に歩を損
しているので、先手が悪いでしょう。

CapD20120602_3.png

▲6八金に△2七角成り

第4図から
▲8二角成り △同銀 ▲6八金 △2七角成り ▲7四飛(第5図)

▲8二角成りと飛車角交換するのは妥当なところです。▲6八金では▲5八金左も
考えられますが、同じ進行になります。(▲6八金の方が急戦には強い。)△2七角成
りに▲7四飛と出ます。

第5図から
△7三銀 ▲7八飛 △6四歩 ▲8三飛(第6図)

次に▲8四飛があるので、後手は△7三銀と守ります。△6四歩は馬を自陣に利かせ
る味のよい手です。▲8三飛までは、『相振りレボリューション』で解説されている手順
です。

第6図以下、△7二馬は▲8一飛成りがあるので危険で、△7四歩くらいですが、▲
8五飛成りに△6三馬で、後手がまとめやすいと思います。

第5図では△6四歩も有力で、▲同飛に△7二馬と引けば龍を作られずに堅くできま
す。以下、▲3四飛や▲7七桂などが考えられますが、後手が指しやすいでしょう。

なお、第3図から▲6八金と守る手は、△2七角成 ▲5五角 △2二銀 ▲8二角
成 △同銀 ▲7四飛と進み、第5図に合流します。

CapD20120602_4.png

▲7四飛に△6七角成り

第4図から
▲8二角成り △同銀 ▲7四飛 △6七角成り ▲7八金(第7図)

高段者の実戦は、▲8二角成り △同銀に▲7四飛の進行が多いです。続いて△6
七角成りに▲7八金と守る手が、『よくわかる石田流』で解説されており、△6六馬に
は▲6九飛が用意の手としています。

▲7八金ではなく、▲7八飛と引いて守る手には△4五角、▲7九飛には△6六角が
あります。また、▲7二飛打と攻める手は、△5五角で後手有利です。


第7図から
△4九角成り ▲同玉 △7五角(第8図)

しかし、第7図では△4九角成りと切る手があり、この手で後手が優勢となるようです。

CapD20120602_5.png

第8図では、①▲7五飛、②▲8四飛、③▲5六角などが考えられます。

①▲7五飛は△4七角成りの詰めろが意外に受けにくいです。

②▲8四飛は、△8三銀と紐をつけてから、▲8五飛に△4七角成り(第9図)で、
 先手が苦しいでしょう。

③▲5六角は、△7四角 ▲同角に△6四飛(第10図)があります。

早石田9手目▲4八玉は、厳しい現状にあるようです。

参考棋書
『相振りレボリューション』 杉本昌隆著 毎日コミュニケーションズ
『よくわかる石田流』 高崎一生著 マイナビ

CapD20120602_6.png



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2012.06.02 / Top↑
タイトル戦で早石田古典定跡の形が登場

第1図は、棋王戦第2局(久保-郷田戦 2012.2.25)より、後手が角交換から△2
二銀と上がった手に対して、▲7四歩と仕掛けた局面です。

第1図から、
△同歩 ▲5五角 △7三銀 ▲7四飛(第5図)

実戦では△同歩と取りましたが、ここは△7二金と守る手も考えられます。△7二金
に久保流の▲7五飛は指し難いでしょう。▲7七桂(第2図)と跳ねるのが有力と思
います。

CapD20120310.png

続いて△3三銀なら、▲7三歩成り △同銀 ▲6五桂 △6四銀 ▲7一角(第3
図)で、これは、前回第7図と同じ局面になります。

以下、△9二飛 ▲5三角成り △同銀 ▲同桂成り △4四角 ▲5四銀で、難解
ながらも先手の攻めは続きそうです。

△7四同歩には▲同飛と取る手も有力です。永瀬-村山戦(2011.7)ではそのような
展開になり、△3三銀 ▲7七桂 △4二玉(第4図)と進みました。

CapD20120310_1.png

久保-郷田戦では、△同歩に▲5五角と打ち、△7三銀 ▲7四飛(第5図)となり
ました。これは、先手の8八銀が7九銀との違いはありますが、有名な早石田古典定
の形です。公式戦でこの形が指されたことはないようですが、タイトル戦で指される
とは思いませんでした。

第5図から、
△6四銀 ▲8四飛 △同飛 ▲2二角成 △4四角 ▲同馬 
△同歩 ▲2二角(第7図)

久保-郷田戦では、第5図から△6四銀と指されました。この局面は、定跡書には△
6四角が正解として解説されていることが多いです。(詳しくは、『早石田の基本 2』
を参照してください。)しかし、今後は棋王戦で指された△6四銀が定跡になるのかも
しれません。

久保棋王の飛車捨て

升田九段の『升田式石田流』を見ると、△6四銀は、▲同飛 △同歩 ▲同角 △7三
歩 ▲7四歩で居飛車が容易でないと書かれています。その進行でも難しいと思います
が、久保二冠が指したのは、▲8四飛!!でした。これは従来の定跡書には書かれてい
ない手ですが、『久保の石田流』に載っている手です。

▲2二角成に、郷田九段は1時間以上考えて△4四角と指しています。▲同馬に△同
歩と取った局面は、『久保の石田流』には、▲9五角と王手飛車をかけ、△8二飛打 
▲2二銀(第6図)で先手が少しいいと書かれています。

CapD20120310_2.png

しかし、解説の山崎七段は、▲9五角に△8二飛打あるいは△9四飛打の局面を想定
して、「振り飛車が自信ないように思う・・・」と話していました。 久保棋王も、やはり▲9
五角では大変だと判断されたようで、約30分考えて▲2二角(第7図)と打ちました。


※後日発売された『早分かり石田流定跡ガイド』(所司和晴著)では、▲2二角以下△4二飛引まで
の進行は後手満足として、▲9五角が有力と書かれています。
▲9五角に△8二飛打は、▲2二銀 △4五角 ▲2一銀成 △6七角成 ▲9六桂で後手不利。
△9四飛打は、▲7七角以下、形勢不明と解説されています。



第7図から、
△8六歩 ▲同歩 △1二飛 ▲4四角成 △4六歩(第8図)

△1二飛は、駒を取らせないという手です。また、▲4四角成に△4六歩からの攻め
も狙っています。

CapD20120310_3.png

郷田九段の完勝譜

第8図から、
▲同歩 △8六飛 ▲7七馬 △4六飛 ▲4七歩 △4二飛引(第9図)

△8六飛に▲8七歩は、△4六飛の王手馬取りで終わってしまいます。第9図からは、
▲9五馬と王手をかけましたが、馬は7七の位置で1一のラインに睨みを利かせてお
いた方がよかったかもしれません。本譜は、2枚の飛車が活用され、郷田九段が完勝
しました。



第9図の形勢は、後手が良いのかというと、そう簡単ではないと思います。▲9五馬
でなく▲3八玉には、△9二角が厳しそうですが、▲5六銀で受かっています。


後日、将棋倶楽部24高段の方が第9図まで同一手順で指していました。

その対局では、以下、
▲5八金左 △3五歩 ▲7四歩 △9四歩 ▲3八玉 △6五角
▲2八玉 △7四角 ▲3八銀(第10図)

と進行しました。先手はうまくまとめた感じで、馬の睨みがきつく後手は駒組が大変
そうです。結果は先手が勝利しています。


CapD20120310_4.png

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2012.03.10 / Top↑

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