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△2二銀の変化

前回第1図から、
△8八角成 ▲同銀 △2二銀(第1図)

第1図の△2二銀が、最近プロの対局でよく指されている手です。この手で、△3二
銀 ▲7七桂 △4二玉と左美濃を目指す手は、▲5五角 △5四角(△3三角な
ら▲4六角) ▲2六飛(第2図)となった時に、△3三桂か△4四歩と受けなくては
ならないので、後手少し不満です。

CapD20120304.png

スイッチバック自陣角はできない

第1図から、
▲7七桂 △3三銀 ▲4六角(第3図)

第1図で▲7四歩と攻める手を、先日久保二冠が指していますが、今回は▲7七桂
を検討します。

▲7七桂には、△3三銀と上がります。この局面で▲5五角と打つのは、△4四銀と
出られて
やぶ蛇になってしまいます。△2二銀~△3三銀は、前回紹介したスイッチ
バック自陣角を封じる意味もあるのです。

攻めるとしたら①▲4六角(第3図)と打つ手と②▲7四歩が考えられます。


①▲4六角

第3図から、
△5四角 ▲5六飛 △2七角成り ▲7四歩(第4図)

▲4六角にも△5四角と打たれる手があります。角がいるので▲2六飛と受けること
はできません。▲5六飛と逃げるくらいで、△2七角成りに▲7四歩の攻めが利くか
どうか。

第4図から△7二金は、▲7三歩成り △同金 ▲6五桂。△8四飛には、▲7三
歩成り △同銀(△同桂にも▲5三飛成り)▲5三飛成り。 △6四歩には、▲7
三歩成り △同桂 ▲7四歩で、どれも難しいとは思います。

CapD20120304_1.png


②先に▲7四歩と突く

中村亮四段は第2図から▲4六角ではなく、▲7四歩(第5図)と先に歩を突きまし
た。 (中村亮-増田戦2010.9)

第5図から、
△同歩 ▲同飛 △4二玉 ▲7五飛(第9図)

第5図では、いろいろ手が考えられます。△5四角なら、▲7五飛と逃げられます。
△4五角なら、▲4六角 △6七角成り ▲7三歩成り(第6図)と攻め合って先手
が戦えると思います。

CapD20120304_2.png

第5図で△7二金と受ける手もあります。以下、▲7三歩成り △同銀 ▲6五桂 
△6四銀に、▲7一角(第7図)と打ち、△9二飛に▲5三角成りで、難解ですが先
手の攻めはぎりぎり続きそうです。

実戦では、△同歩 ▲同飛と進みました。ここで△7三歩なら▲7五飛で後手困りま
す。△7三銀は▲同飛成りと切られて、後手危なそうです。△4二玉に▲7五飛(第
9図)と中段に引いて、▲8五飛を狙います。

△4二玉の局面は、左半分だけを見れば、先日の王将戦第4局と同一です。ここでは、
王将戦で指された▲4六角(第8図)と打つ手もあったかもしれません。このあたりの手
のコンビネーションは難しいところです。

CapD20120304_3.png

第9図から、
△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲7八金 △6四角 ▲8七歩 
△8二飛 ▲7六飛(第10図)

第9図で△7二金なら、▲8五飛 △8三金 ▲5八金左で問題ありません。▲7五
飛に△8六歩が、後手用意の反撃です。△6四角のところで△7六歩は、▲8七銀で
先手が少しいいです。

第10図は、先手だけが角を手持ちにしていますが、後手は飛車先が切れ、持ち歩の数
も多く、形勢は難しいと思います。結果は、先手がうまくまとめて勝利しました。

第3図の▲4六角、第5図の▲7四歩に自信なければ、▲3八玉と指して一局です。

CapD20120304_4.png




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2012.03.04 / Top↑
久保棋王がタイトル戦で、三手目▲7五歩から9手目に▲7六飛(第1図)と浮く形を
続けて指しています。当ブログ『早石田菅井新手 4』で、この形について簡単に触
れていますが、新手も出ているのでまとめてみたいと思います。

初手から、
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △8四歩 ▲7八飛 △8五歩
▲4八玉 △6二銀 ▲7六飛(第1図)

第1図は公式戦で十数局現れていて、▲7六飛に後手は全て△8八角成りと指してい
ます。角交換してこなければ、▲6六歩あるいは▲7七桂と指して石田流にできるので
先手十分です。

第1図から、
△8八角成 ▲同銀 △4二玉(第2図)

▲同銀に後手の指し手は、△4二玉△2二銀(△3二銀)に分かれます。プロの対局
では、以前は△4二玉がほとんどでした。しかし、最近は△2二銀が多くなっています。
その理由は次回に説明しますので、今回は△4二玉を検討したいと思います。 なお、
▲同銀に△4五角は、▲5五角で香取りが受からず後手不利です。

第2図で先手の有力手は、▲3八玉と▲7七桂が考えられます。 どちらかと言えば、
▲3八玉は升田式石田流を目指す手(▲3八玉の位置で急戦を仕掛けた実戦例もあり
ます。)で、▲7七桂は急戦指向の手です。

CapD20120229.png

スイッチバック自陣角

第2図から、
▲7七桂 △3二玉 ▲5五角(第3図)

△3二玉に▲5五角が久保-羽生戦(2010.7)で指された手です。似た手は、久保-松
尾戦(2010.1)でも指されましたが、その時には▲7四歩 △7二金の交換を入れてから
▲5五角と指しています。その対局では後手が勝利しており、改良版といえましょう。

第3図から、
△2二角 ▲4六角(第4図)

▲5五角に△2二銀は、▲7四歩の攻めが厳しそうです。(実際には、△7二金・△6四角
・△5四角などの手があり難しいです。)△2二角の受けに▲4六角と引くのが、スイッ
チバック自陣角
と名前がついた手です。

CapD20120229_1.png

第4図から、
△4二銀 ▲3八銀 △8四飛 ▲3九玉 △6四歩 ▲7九銀(第5図)

△4二銀には、▲7四歩といきたくなります。しかし△7二金と受けられると、▲6五桂
と跳ねられない(△8八角成りがある。)ので、うまくいきません。△8四飛~△6四歩
と指されては、簡単には攻め切れません。▲7九銀から銀を繰り替えて陣形を整備
しにいきました。

少し進んで第6図となりました。先手は3七角型の石田流にしました。居飛穴や銀冠に
させないで、この形に組めれば先手は満足でしょう。

羽生二冠は、この指し方を優秀だと感じられたようで、1ヶ月後に、今度は先手番を持
って第17図と同一局面を指しています。(2010.8 羽生-佐藤戦)

CapD20120229_2.png




中村太五段の対策

羽生-佐藤戦の約一週間後、永瀬-中村太戦(2010.8)でこの形になり、15手目ま
で同一手順で進みました。▲5五角に対して中村四段(当時)が指したのは、香取りを
受けないで△5四角(第7図)と打つ手でした。これは飛車取りになっているので、先手
は飛車を逃げなければなりません。永瀬四段は▲6六飛と逃げました。

第7図から、
▲6六飛 △2二銀 ▲3八銀 △3三銀 ▲5六歩 △4四歩 ▲3九玉 △7二金
▲7四歩 △8四飛(第8図)

後手は、△2二銀~△3三銀として先手の角を狙いにいきました。▲5六歩は角の逃げ
道を作る手です。ここで△4四銀では角が動きにくくなるので、△4四歩と指しました。

先手は、▲7四歩と飛車のコビンを狙いましたが、△8四飛で後続がありません。第8
図は、先手と後手の飛車角の働きに差があり、後手が指しやすいでしょう。

CapD20120229_3.png

この対局の後、将棋倶楽部24強豪の方が第7図から、▲5六飛▲2六飛と逃げる手
を指していました。

▲5六飛には、△2二銀 ▲3八銀 △3三銀に、▲3六歩(第9図)と角の逃げ道を開
けますが、△4四銀で先手は苦しそうです。

▲2六飛には、やはり△2二銀 ▲3八銀 △3三銀(第10図)と進み、ここで▲3六歩
は突き辛く、▲3九玉か▲7八金くらいですが、△8四飛あるいは△4四銀で後手のペー
スでしょう。

永瀬-中村太戦以後、公式戦で第3図は出現しておらず、△5四角はかなり有力な対
策のようです。

CapD20120229_4.png




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2012.02.29 / Top↑
3手目▲7五歩と突いた早石田風の出だしからの面白い指し方を紹介します。これ
は、将棋倶楽部24強豪のa八段やs七段が時々指している指し方です。

第1図から△4二玉に▲2六歩(第2図)、△8四歩にも▲2六歩(第3図)、△
3五歩の相三間飛車模様にも、▲2六歩(第4図)と指すのです。相手は、意表を
つかれることでしょう。

第2図と第3図は、相居飛車の戦いになることが予想されます。s七段は、第2図
から△4四歩なら、▲2五歩 △3三角 ▲3六歩以下、袖飛車にして攻める将棋
を指していました。ここでは、第4図以降の指し方を検討したいと思います。


CapD20110825.png

CapD20110825_1.png

急戦になった場合に、▲7五歩が生きる変化がある

第4図から普通に指すとしたら△3二飛です。続いて▲2五歩と指せば、通常の早
石田の形と比べて7六歩が7五歩になっている局面になります。ここから急戦を仕
掛ける手を考えてみます。

まず、早石田5八玉の手順で仕掛けてみます。

△3六歩 ▲同歩 △5二玉(第5図)

▲3八飛 △8八角成り ▲同銀 △2七角 ▲5五角(第6図)

△2七角には、▲7七角、▲6六角、▲5六角、▲5五角などの手が考えられます
が、7五歩の形を活かして▲5五角と打つのが最善だと思います。通常の形に比べ
て、▲7四歩の攻めが速く、第6図は、先手が指しやすそうです。


CapD20110825_2.png

次に、△3四飛(第7図)と菅井新手でいった場合を調べてみます。

先手は、角交換から▲6五角と打つ定跡が有力です。

▲2二角成り △同銀 ▲6五角 △4四飛 ▲8三角成り △3六歩
▲同歩 △5五角 ▽8八銀(第8図)

定跡通りに進めば、第8図になります。通常形なら、ここで△7四歩で難解ですが、
この場合は▲同歩と取られてしまいます。以下、△7二銀 ▲8四馬 △5二玉 
▲5六歩の進行は、後手不満でしょう。


CapD20110825_3.png

持久戦の場合は、先手の駒組が難しいか

急戦を仕掛けるのは、先手の術中に嵌る可能性があるので、後手は升田式石田流に
するのが安全だと思います。

第9図は、s七段とk七段の対局からです。△5五銀と出るのは、升田式石田流の
常套手段ですが、この場合は7五歩を狙う意味もあります。

▲5六歩 △6四銀 ▲7六銀 △5四歩 ▲6七金 
△3三桂 ▲5八金(第10図)

7五歩の位を守るには、7六銀の形を作るのが普通です。先手は、角の打ち込みに
注意しながら駒組を進めなければなりません。▲6七金~▲5八金は苦心の手順で
す。しかし、第10図は、△5五歩の攻めがあり、後手が指しやすいでしょう。

これは一例ですが、7五歩が伸び過ぎともいえるので、先手は位の確保をするのに
苦労しそうです。

CapD20110825_4.png



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2011.08.25 / Top↑
早石田菅井新手に対して、最近は角交換から△3二銀(第1図)と上がる手が主に
指されている
ようです。

第1図から、▲7四歩 △6二銀 ▲7三歩成り ▲同銀(第2図)に、▲7三飛
りと強襲する手は、菅井新手6で紹介したように村田-大石戦(2011.3)で指され
ました。

その後、高崎-稲葉戦(2011.5)でも同じ形が指され、ちょうど今、読売新聞に棋譜
が掲載されています。この2局は、20手目(第3図)まで同一手順で進みました。

この▲7四歩~▲7三飛成りが成立しているのかどうかは、大変興味があります。


CapD20110612.png

▲7三飛成りの後、△同桂 ▲7四歩 △6五桂 ▲7三角 △6二飛(第3図)
までは、ほぼ一本道。

村田-大石戦は、ここで▲5八玉と受けましたが、高崎-稲葉戦では▲5八金右
受けています。以下、△3三角 ▲6六銀に△9二香(第4図)と逃げました。

玉形は違うものの、この手順は2局とも同じです。


CapD20110612_1.png

高崎-稲葉戦では、第4図から▲8四角成りと指しました。高崎五段によると、
「▲9一角成りが効くと思っていたのが誤算。△7一飛がある。」とのことで
す。

実戦では、▲8四角成りの後、△7二歩(第5図)と受けられ、▲8三馬から香
を取りにいきました。この手順だと香を取るのに3手かかっており、その間に△
7二歩、△6四歩と守られてしまいました。

▲9二馬の局面は、先手は2枚替えで馬ができていますが、手がかりに乏しく、
後手が指せそうです。


実は▲9一角成りに△7一飛は、村田-大石戦で指された手でした。以下、▲7
三馬に△7二金(第6図)が強い手です。


CapD20110612_2.png

以下、▲6二馬 △同金(第7図)と進みました。ここで▲8二飛と打ちたいの
ですが、5八玉型だと△6六角~△7六角と指されて後手有利になります。なの
で、実戦では▲4八玉と逃げ、△4五角打ちから馬を作られました。

第7図は、すでに先手が苦しいようです。

しかし、5八金右の形なら▲8二飛(第8図)が利きます。


CapD20110612_3.png

読売新聞にもこの手順は解説されていて、以下、△7二飛 ▲8五飛成り △6
四歩 ▲7八金に、△4五角(第9図)と打たれ、先手不利となっています。

△4五角は、△2七角成りと△6六角切りから△7八角成りを見た手です。

しかし、第9図では▲7五銀と指す手があり、△2七角成り ▲6四銀 △5四馬
 ▲7五龍と進めば、7三が受からず、先手が面白い形勢ではないでしょうか。

ということは、第4図では、▲9一角成りと指すのが有力なのかもしれません。も
っとも、第9図で△4五角がだめなら、じっと△4二玉と指す手もあり、まだ検討
する必要はありそうです。


CapD20110612_4.png




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2011.06.12 / Top↑
先月、久保二冠の新刊『久保の石田流』が発売されました。しかし、売り切れた
のか、市内の書店を探し回っても見つけられませんでした。昨日、電車で1時間
ほど行った某市の書店でやっと1冊見つけました。(欲しかったのですが、その
本は汚れていたので、買うのは見送りました。)

ざっと立ち読みした感想を書いてみます。本書は、将棋世界の講座「さばきのエ
ッセンス」
をまとめたものですが、実際に見てみたら、かなり手を加えていると
感じました。例えば、久保流急戦(早石田久保流)について、講座では△7四歩
に▲4五飛が本筋とされていましたが、本書では▲4五飛では先手不利と書かれ
ています。

これだけの内容をまとめた本なので、広く浅くといった感じは否めません。レベ
ルの高い方には不満な点もあるでしょう。しかし、最新の石田流についての基礎
知識を知りたい方にはかなりお勧めの本だと思います。


▲4五飛の変化はプロレベルでは消滅


さて、久保流急戦ですが、従来は△7四歩に▲4五飛(第1図)と回り、△5二
玉と受けるのが定跡になっていました。しかし、研究が進み、▲4五飛はよくな
いことがわかりました。

第1図から、△8八角成りが気づき難い手で、▲同銀に、 △3三角(第2図)と
されると、「先手まったくだめ。」なのだそうです。2009年12月頃から将棋倶楽
部24で、この手は見かけていましたが、これでプロ的には、▲4五飛の変化が消
滅していたとは、『久保の石田流』を読むまで知りませんでした。


CapD20110421.png

第2図からは、▲7八金 △3二銀 ▲4六飛に△2四歩(第3図 ▲3六飛に
は△2三銀を用意)とじっくり指せば、後手陣はしっかりした形、しかも一歩得
なので、後手十分でしょう。△2四歩のところで△4四歩は、▲5五角(第4図)
と打たれるのが嫌味です。


CapD20110421_1.png


△7四歩には、▲同飛(第5図)と取るのが正しく、『久保の石田流』には、この
手で久保流は生き残っていると書かれています。

第5図以下の変化は、当ブログ「久保流急戦1」に解説していますので、そち
らを参考にしてください。

CapD20110421_2.png

 ※参考棋譜※


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2011.04.21 / Top↑