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◇本家の矢倉流

先月の松本-矢倉戦(2012.9.18)では、本家矢倉六段の三間飛車からの矢倉流が見ら
れました。矢倉先生は、三間飛車からの矢倉流は初めてのようです。

なぜ三間飛車からなのか?について考えてみました。第1図は、16手目の局面です。
次に先手は、▲9八香と上がる手が1番多く、公式戦データを見ると約8割を占めてい
ます。ここがポイントのようで、早めに▲9八香と指してもらうことで、矢倉流にしやす
くなると推測します。具体的には、第5図の構えを作られなくなるのですが、詳しくは後
で解説します。

CapD20121004.png

CapD20121004_1.png

第2図から、
▲2六飛 △7二銀 ▲6八金寄 △4四角(第3図)

第2図では、△4二飛に対して▲2六飛と受けることが多いようです。▲4八飛では受け
一方になりやすく、後手は相穴熊に組む手や△2二飛の真部流も考えられます。

▲6八金寄は矢倉流対策の指し方で、離れ駒を作らずに囲う手です。この手で▲9九玉
は、△4四角 ▲3六飛 △3二飛 ▲6八金寄 △3五歩 ▲2六飛 △3六歩 ▲同
飛 △同飛 ▲同歩 △5一金左が進行の一例ですが、先手陣は好形ではないので、後
手が戦えると思います。

第3図から、
▲3六飛 △3二飛(第4図)

△4四角に▲2八飛と引いたのでは、△3三角と戻して千日手模様になります。▲3六
飛には、△3二飛と戻します。

CapD20121004_2.png

◇形の違い

第5図は中飛車からの矢倉流ですが、第4図と比較すると先手の形が少し違っていま
す。▲9八香の一手を後回しにしている為に、二枚金で堅いのです。この構えが矢倉流
に対しては難敵で、公式戦データを見ると、この局面は先手が6戦全勝と圧倒してい
ます。

CapD20121004_3.png

第5図からは、 ▲5七銀と引く手が好手(他に▲6五銀も有力)で、先手十分となります。

第5図から、
▲5七銀 △7七角成 ▲同 桂 △3五歩 ▲2六飛 △3六歩(第6図)

以下、▲同歩に、△4四角・△6二角・△7一角・△1五角などが指されていますが、後
手が苦戦しています。

この辺りの攻防については、『将棋・序盤のStrategy』さんの「中飛車 矢倉流中飛車 NO.1」
「中飛車 矢倉流中飛車 NO.2」に詳しく書かれていますので、深く研究されたい方はぜ
ひご覧ください。

CapD20121004_4.png

本譜に戻ります。

◇後手、石田流に

第4図から、
▲7八金上 △5二金左 ▲9九玉 △3五歩 ▲2六飛 △3四飛(第7図)

第4図から▲5七銀や▲6五銀は、玉形のわずかの違いで指し過ぎになるようです。な
ので、▲7八金上と固めました。△5二金左に▲5七銀とするのも、▲4三角の打ち込
みが消えているので指し難いです。

4四角・3二飛型では、△3六歩から捌いていくのが狙い筋ですが、決戦は自重して
石田流に組みました。これも参考にしたい指し方です。

第7図から、
▲8八銀 △3三桂 ▲7九金 △2四歩(第8図)

第8図の△2四歩は、この形を指す上で覚えておきたい手です。これを▲同歩なら△3
六歩と突き、▲同飛には△2四飛 ▲2五歩 △同飛 ▲2六歩 △2四飛、▲2七飛に
は△3七歩成り ▲同飛 △2四飛で、後手が指せます。

CapD20121004_5.png

第8図から、
▲7五銀 △2五歩 ▲4四角 △2六歩 ▲7七角(第9図)
 
先手は▲同歩と取れないので忙しい局面です。▲7五銀と勝負して、飛車角交換の激し
い戦いになりました。

第9図から、
△7五銀 ▲同 歩 △5五歩 ▲同 角 △5九飛(第10図)

第10図は、駒の損得はありませんが、次に△5七歩の垂らしや△2九飛成りから桂馬を
取って△7六桂の攻めがあり、後手が指せると思います。

CapD20121004_6.png




参考文献及び参考サイト
・『最前線物語2』 深浦康市 浅川書房
・『西川流振り飛車 居飛車穴熊破り』 西川和宏 毎日コミュニケーションズ
・名人戦・順位戦棋譜速報
・将棋・序盤のStrategyさん

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2012.10.04 / Top↑
第1図は、後手が5三銀型の三間飛車に構えたところです。居飛穴に対して、ここから
真部流やコーヤン流にすることができますが、△6四銀~4二飛と回る矢倉流的な指
し方も有力です。矢倉流は、矢倉規広六段や西川和宏四段が得意としており、本来
は中飛車から四間飛車にする指し方です。しかし、三間飛車でも同じように指せるの
です。

ポイントとしては、

①△5三銀型から、△6四銀と出て▲6六銀を強要させる。
②△4二飛と振りなおして、手薄になった四筋に狙いをつける。
③場合によっては、千日手を視野に入れる。(基本的に後手の戦法とお考えください。)


などがあげられます。

CapD20120930.png

第1図から、
▲5七銀 △6四銀 ▲6六銀 △4二飛 ▲9九玉 △4五歩(第2図)

ここから△4六歩を受けるのには、▲4八飛・▲2六飛・▲6八角などが考えられます。

しかし、▲6八角は△6五銀があります。▲2六飛も、この形(9九玉型)の時は危険
で、△4六歩 ▲同歩(突き捨てを入れるのが肝心)に△6五銀(変化図A)とされ、
▲同銀 △同角成り ▲同桂 △4四角(変化図B)で先手苦戦となります。
※注 △6五銀に▲2四歩 △7六銀 ▲2三歩成り △4四角 ▲3二とで難解かもしれない。

第2図からは、▲4八飛と受けるのが正しいのです。(8八玉・5八金右型なら、▲2
六飛は有力)

CapD20120930_1.png

相穴熊にする指し方

第2図から、
▲4八飛 △9二香 ▲8八銀 △9一玉 ▲5九金右 △8二銀 ▲7九金 
△5一金左(第3図)

これは、佐藤-久保戦(2003.12王将戦)の進行です。以前は、後手も穴熊にして、
がっぷり戦いあうことが多かったようです。

第3図から、
▲6九金右 △7一金 ▲7八金右 △6一金左 ▲6八角 △7四歩(第4図)

6四銀型なので、△7四歩は大きな一手になります。第4図は、まだまだこれからの
将棋ですが、結果は後手が勝利しています。

矢倉流から相穴熊にしての攻防や、実戦テクニックは、西川四段の『西川流振り飛
車 居飛車穴熊破り』に詳しく解説されています。

CapD20120930_2.png


真部構想△2二飛

第2図から、
▲4八飛 △2二飛(第5図)

これは、佐々木慎-渡辺戦(2005.6)の進行ですが、▲4八飛に△2二飛と向い飛車に
するのが、森下-真部戦(2005.3)で指された真部八段の新手です。この手は、深浦九
段の『最前線物語2』に、矢倉流の進化に大きな刺激を与えたと紹介されています。

▲6八角には△6五銀があります。▲2八飛には△4二飛と戻して千日手模様となるの
で、△2四歩が受けにくいのです。

第5図から、
▲4六歩 △同 歩 ▲同 飛 △4二飛 ▲4三歩(第6図)

森下-真部戦では、第5図から▲3六歩と指されましたが、渡辺竜王は、▲4六歩と攻
めました。これには△4二飛が用意の一手です。ここで飛車交換は、先手不利ですの
で、▲4三歩と打ちました。

以下、△2二飛に△5二金~△4四歩~△4三金で、この歩は取られてしまうのです
が、4三歩を犠牲に後手の速攻を防ぎ、形を乱せるというのが先手の主張です。しか
し、後手の一歩得も大きいと思います。

▲4三歩の局面は、プロでも見解が分かれる難解な局面です。この対局は、渡辺竜王
のブログに解説されています。

ttp://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/d/20050628

CapD20120930_3.png




なお、渡辺竜王は杉本七段戦(2010.3)で、珍しく三間飛車に振り、立場を逆にして矢倉
流四間飛車転換型を指しています。これは、矢倉流が優秀だと感じたからでしょうか。
27手目▲4八飛までは同局面でしたが、次に△9二香(第7図)と上がり、相穴熊戦に
しています。


矢倉流に対して▲4八飛は、相穴熊にするか、△2二飛の真部構想が有力のようです。


参考文献
『最前線物語2』 深浦康市 浅川書房
『西川流振り飛車 居飛車穴熊破り』 西川和宏 毎日コミュニケーションズ

CapD20120930_4.png


2010.11.02 / Top↑

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